5月25日にグランディスに新たに追加された『Sport-E』は、一見単なる追加グレードに思えてしまうが、じつは意外に奥が深いクルマだった。
エクステリアではメッシュグリルの採用やリヤスポイラーの装着といった定番のアイテムを採用しているが、ポイントはサスペンションとボディ。15mmローダウンされた足回り、Cピラー下部とセンタートンネルが補強されたボディは、ほかのグレードに比べて、大幅にフットワークが向上している。
デビュー当初のグランディスは乗り心地に振ったサスペンションを採用し、走行安定性に関しては高いレベルにはなかった。だが今回登場した『Sport-E』はスプリングやダンパーを変更し、ボディが補強されていることもあり、ハンドリングは大きく向上している。
ロールの収まりが素早くなり、17インチという大径ホイールを装着しながらも、荒れた路面を走っても衝撃をうまく吸収している。さらに、全グレードで行なわれたパワーステアリングのチューニングの見直しにより、ステアリング操作にリニアリティが増している。
これらの変更には、今年春から始まったグランディスのヨーロッパでの販売開始が大きく影響している。三菱自動車エンジニアリングの原良光彦氏は「ヨーロッパでの販売に際し、グランディスのサスペンションも使用速度域を高めに設定し、細部のチューニングを変更しました。その結果、欧州仕様で選ばれたダンパーやタイヤを国内仕様にも展開することになりました」
「ダンパーについては、04モデルから全グレードについて欧州仕様と同じタイプを採用しているので、全グレードを通してハンドリングがよくなっています。欧州でのグランディスの人気は上々で、予想以上の受注をいただいています」と説明する。
そう、『Sport-E』のEはヨーロッパのEだったのだ。最近はアベンシスやレガシィなど、欧州仕様の足回りを日本でも採用するケースが増えているが、ここまで劇的に変わったのはグランディスぐらいだろう。日本人のサスペンションの好みも、最近は欧州に近づいているに違いない。