自動車NOx・PM法逃れ、アドバイスのプロ

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兵庫県警察本部は20日、「改正自動車NOx・PM法」逃れで不正を働いたとして、神戸市東灘区にある行政書士事務所を電磁的公正証書原本不実記録、同供用幇助容疑で家宅捜索を実施した。

規制対象エリア内で排出ガス抑制装置の装着を義務付けたり、未対策車の運行を禁止する「改正自動車NOx・PM法」の適用を逃れることを目的に、今年4月に経営者が逮捕された運送会社に、申請手続きを代行するなどと持ちかけ、これを実行していたという。

兵庫県警・交通捜査課によると、電磁的公正証書原本不実記録、同供用幇助容疑で家宅捜索を受けたのは、神戸市東灘区内にある大手の行政書士事務所。

調べによると、この事務所で許認可申請事業部で課長職にある43歳の職員が、神戸市西区内にある運送会社を経営する53歳の男から依頼を受け、「改正自動車NOx・PM法」の適用外となる地域に移す手引きをした疑いを持たれている。

運送会社は2003年6月、規制対象地域外となる小野市内に活動実態のない営業所を設置。同法の適用を受けた場合、排出ガス抑制装置を未装着状態では神戸市内での登録や使用ができなくなる大型ダンプトラック5台について、車両の使用拠点をこの事務所に移動。これまでと同じ運用方法で使い続けた。

今年3月までに行われた兵庫県警の内偵捜査によって、事務所に活動実態がなく、書類上の名目拠点となっていたことが発覚。同4月に運送会社の社長を電磁的公正証書原本不実記録、同供用容疑で逮捕しているが、同時に実施された家宅捜索の際、申請書類の作成に問題の行政書士事務所が関与していたことが明らかになった。

申請書類は行政書士事務所が作成し、国土交通省・兵庫陸運部に提出されており、警察では余罪が他にもある可能性があるとして、家宅捜索で押収した書類を分析し、虚偽申請の実態を調べる方針。

警察では「行政書士事務所に対する家宅捜索は近畿地方では初めてで、全国的にみても珍しい」としながらも、「書類作性のプロが関与した犯罪の可能性もあり、今回の捜索で規制逃れの実態や、そのテクニックなどを把握。同様事件が発生した場合にはいち早く対応したい」とコメントしている。

《石田真一》

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