28日、裁判所の判定が下った。長きに渡り繰り広げられてきたインディカー分裂劇がこれで終焉すると思われたのだが……。
インディカーシリーズは1970年代後半まで、インディ500の主催団体USAC(ユナイテッド・ステイツ・オート・クラブ)がシリーズ全体も取り仕切っていた。
が、ロジャー・ペンスキー氏などチームオーナーが分離独立を宣言。1978年、CART(チャンピオンシップ・オート・レーシング・チームズ)誕生の機に、インディカーシリーズの主導権はCARTへと移行していった。
そして1996年、インディ500主催者側がIRL(インディ・レーシング・リーグ)として独自シリーズをスタート。IRLとCART、2つのアメリカントップフォーミュラが並存する時代へと突入。
事態が動いたのは2002年後半。トヨタ、ホンダなど主要エンジンメーカーがCARTからIRLへの転向を明らかにした。主力スポンサーを失ったCARTは2003年、カナダ、メキシコでの熱狂的支持を受けながらなんとかシリーズを乗り切ったものの、同年12月、ついに事業の破産を裁判所に申請。
そして、新規誕生のレース運営会社、OWRS(オープン・ホイール・レーシング・シリーズ)が04年CARTシリーズ継続を保証すると表明した。いっぽう、裁判所によるCARTの資産の競売に対して、IRLも参加の意向を示してきた。ロングビーチGPなど主要レースの開催権利などに対して、IRL側はOWRS側の金額を上回る提示を試みたのだ。
結局、裁判所はOWRSによるCARTシリーズ継続を指示する判断を下した。これにより、当初予想されていた05年IRLシリーズにロードコースを組み込む案は難しくなった。
CARTとIRLの合併が遠のいたのか? それともまだ、ひと波乱も、ふた波乱もあるのか? いま、アメリカのレース関係者で、2つのシリーズの未来を予測出来る者は誰もいない。