ダイハツ『タント』は全高が1725mmという非常に背の高いクルマだ。当然ながら「1550mm以下」という条件のある一般的な立体駐車場には入れることができない。最近のクルマは懸命に1500mm以下を目指す傾向にあるが、それとは対照的な印象も受ける。
これについてタントの開発を担当した製品企画部の薗田孝主査は「すべてのクルマが立体駐車場に入れられるサイズではなくてはいけないという考え方はどうなのでしょうか。立体駐車場に入らないという個性があってもいいと思います」と言う。
「軽自動車は規格が厳密に決められて全長と全幅は変えられません。限られたスペースの中で、乗員にゆったりとしてもらうためには上に伸ばすしかなかった」
「頭上の空間を広げることで、タントは大人の男性4人が乗っても窮屈感を覚えない仕上がりになっている。これは立体駐車場に入れるなんてことより、はるかに重要なことだと思います。立体駐車場に入れることを主眼において、乗員の居住性を切り捨ててはいけない」と薗田主査は語る。
シートは最近の軽自動車では珍しく堅めの質感だが、これは「天井が高いので姿勢を崩して座る必要も無いので多少堅くしました。特にリアはこれまでの軽とは一線を画す仕上がりと自負している」と説明している。女性は柔らかめの質感を好む傾向にあるが、違和感を与えない程度に引き締めを図ったそうだ。