最近の軽自動車のエンジンは3気筒が主流だ。以前は「軽も4気筒」と言われていた時代もあったが、ホンダ『ライフ』、スズキ『ワゴンR』など、売れ筋のニューモデルは3気筒が多い。
ダイハツはといえば、これまではクルマの性格によってエンジンを使い分けてきた。たとえば『ムーヴ』の場合、量販グレードは3気筒だが、スポーティなグレードは4気筒といった具合。もちろん開発コストはかかるが、よりお客様の志向にあわせたクルマ作りを徹底した結果だという。
しかし新登場の『タント』は3気筒のみのラインナップとなった。「ムーヴより50kgほど重いのと、トルクで軽快に走る感じを出したかった」と、第一エンジン室の篠原広幸係長は説明する。3気筒のほうが1気筒あたりの排気量が大きく、爆発力が強いので、トルク型のエンジンになるのだ。
また燃費面のメリットもある。「4気筒はピストンやバルブ系など稼動部分が多いので、フリクションが大きくなる」ためだ。
セダンやハッチバックはすっかり影が薄くなり、車重のあるワンボックス全盛の軽マーケットにあっては、当面はトルク特性の優れた3気筒エンジンが幅を利かせそうだ。