カーチェイスを原因とする死亡事故、双方のドライバーに実刑判決

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昨年5月、東京都千代田区内の都道でのカーチェイスを発端とする衝突事故を起こし、そのまま客待ちをしていたタクシーにも突っ込んでタクシー運転手ら2人を死傷させたとして、危険運転致死傷罪に問われた34歳の男と53歳の男に対し、東京地裁は26日、前者に対して懲役7年、後者に対して同6年の実刑判決を言い渡した。カーチェイスに危険運転罪が適用され、しかも有罪判決となるのは極めて異例だ。

この事故は昨年5月29日に発生している。同日の午前4時ごろ、千代田区神田神保町付近の都道で、33歳の男が運転する乗用車と、52歳の男が運転するタンクローリーがカーブを曲がり損ねて対向車線側に進入した。対向車線側には荷降ろし作業中のトラックが停車していたが、2人の男が運転するクルマは相次いでこれに衝突。トラックは弾みで横転し、客待ちをしていたタクシーに激突。道路に立っていたタクシー運転手の男性も巻き込まれた。男性は搬送先の病院で死亡している。

後の調べで、乗用車を運転していた男が酒を飲んでいたことが発覚。しかも互いに進路を譲ろうとしないことから、当時はカーチェイス状態になっていたこともわかった。2台は共に80〜100km/hの高速度で走っており、これが事故に発展する直接のきっかけとなった。警察では極めて悪質であると判断し、業務上過失ではなく、危険運転致死傷容疑を適用。検察もこれを支持し、同罪で起訴していた。

26日に行われた判決公判で、東京地裁の川口政明裁判長は「早朝とはいえ、都心部の幹線道路上で80km/h以上の危険な速度で互いに煽り合い、路上に立っていただけの何の落ち度もない被害者を死亡させたという結果は重大であり、強い非難を免れない」と指摘。乗用車を運転していた男に懲役7年の実刑判決を、タンクローリーを運転していた男に同6年の実刑判決を言い渡した。

高速度での暴走や飲酒運転に対して危険運転罪が適用されることは過去にもあったが、カーチェイスを発端として他者が巻き込まれるという形態の事故に同容疑が適用されるのは珍しい。

《石田真一》

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