運転免許証が失効していることに気づきながら、1年4カ月間に渡って路線バスへの乗務を続け、道路交通法違反(無免許運転)の罪に問われた名古屋鉄道バス(名鉄バス)の37歳元運転手対する論告求刑公判が1日、名古屋地裁岡崎支部で開かれた。
検察側は「職業ドライバーとしての自覚が欠如している」と結論づけ、懲役1年6カ月を求刑している。
この事件は今年2月19日の夜、愛知県岡崎市内で20歳の女性が運転する軽自動車が名鉄バスに追突するという事故を起こした際、このバスの運転手が無免許状態だったことに端を発している。
運転手は更新を怠って無免許であることを自覚していたが、会社に報告せずに乗務を続けていた。運転手は今年3月に依願退職しているが、会社は無免許運転を不祥事と認識した上で、これを組織的に隠蔽。結果として役員を含む8人が逮捕される事態となった。
1日の論告求刑公判で、検察側は「職業ドライバーとしての自覚が欠如しているとしか言えない。自己の怠慢で免許も失効させており、無免許で乗務するバス運転手がいるということを知らしめ、社会に衝撃を与えた責任は大きい」として、懲役1年6カ月を求刑した。
これに対して弁護側は「責任を取って会社を退職しており、すでに社会的制裁は受けている。会社が行った事件隠蔽は運転手に直接の関連はない」として情状の酌量を求めた。
判決公判は9月19日に行われる予定だ。