補助ブレーキを使わなかったことが過失---熱海のバス暴走事故

静岡地検沼津支部は29日、静岡県熱海市内の県道(通称:熱函道路)で、昨年6月と今年1月に起きたバスの事故について、いずれも運転手が下り坂でフットブレーキを過度に使用したことが原因と判断し、それぞれの事故を起こした運転手2人を書類送検した。

自動車 社会 社会
静岡地検沼津支部は29日、静岡県熱海市内の県道(通称:熱函道路)で、昨年6月と今年1月に起きたバスの事故について、いずれも運転手が下り坂でフットブレーキを過度に使用したことが原因と判断した。事故を起こしたバスには補助ブレーキが装備されており、これを使用しなかったことが過失と判断されている。

事故は昨年6月と今年1月の2回発生しており、その状況も非常に似通っている。

昨年6月9日、熱海市梅園町付近の熱函道路を進行していた大型バスのブレーキが突然効かなくなり、下り坂で徐々にスピードを上げながら斜面の石垣に激突した。この事故で乗客1人が全身打撲で死亡、32人が重軽傷を負った。

また、今年1月29日には乗客45人を乗せていた大型観光バスが下り坂でブレーキが使えなくなり、路肩の縁石に接触後、そのまま道路脇のくぼ地へ横転しながら転落するという事故を起こした。この事故では10人が重傷、乗客35人と添乗員1人が軽傷を負った。添乗員を含む負傷者全員はシートベルトを着用しておらず、唯一着用の運転手のみ無事だった。

事故はいずれも熱海市内の県道で発生しており、以前から乗用車の事故が多発している地点でもあった。長い下り坂を走り続けるため、フットブレーキを使用しているうちにブレーキパッドが加熱して制動能力が低下する「フェード現象」を起すためで、いずれの事故もこれが原因とみられていた。

検察も慎重に捜査を続けてきたが「事故を起こしたバスにはリターダーなどの補助ブレーキが装備されていたが、いずれの運転手も操作に不慣れであることから使ってこなかったが、使っていた場合には過度にフットブレーキを使わずに済んだ」と判断。フットブレーキを使いすぎたこと、補助ブレーキを使用しなかったことに「過失がある」と認定した。

その上で昨年6月に死傷事故を起こした36歳の元運転手を業務上過失致死傷罪で、今年1月に事故を起こした44歳の元運転手を業務上過失傷害罪で、それぞれ在宅起訴した。

静岡県では「ブレーキが不調となつた場合の退避場所が無いことが事故を招いた」と判断し、当該道路に長さ30m、勾配上り12.5%の緊急退避用路を作り、今月18日から運用を開始した。大型バスの進入にも耐えうる広さを確保してあり、類似の事故は防げるではないかとしている。
《石田真一》

編集部おすすめのニュース

特集