公正取引委員会は14日、微少なアルコール分を含有しながら「ノンアルコール」を商品名に掲げた商品は、消費者が「アルコールが全く入っていない」と誤認する可能性があるとして、ビール酒造組合など11の業界団体に対して、加盟する事業者へ表示適正化を行うよう指導を求める要望を行ったことを明らかにした。
昨年6月の改正道路交通法施行によって飲酒運転に対する罰則が強化されて以後、通常のビールと同じ風味の「ノンアルコールビール」など、ノンアルコールを掲げた飲料の市場は拡大の一途をたどっている。
大手ビールメーカーなども積極的に参入して新商品の開発を行っているが、酒税法で酒類と分類されないのは「アルコール度数1%未満の飲料」であり、市販されている大半のノンアルコール飲料はこのタイプとなる。つまりは「ノンアルコール」と掲げながら、実際には微少のアルコールが含有されているということになる。
こうした飲料は1缶(350ml)程度を飲んでも影響が出ないが、大量に飲んだ場合には通常のアルコール飲料と同様、血中アルコール濃度も上昇し、警察が取り締まりの際に行うアルコール検知(呼気検査)でも酒気帯び相当量を検出してしまうことがある。
しかし、購入者としては商品名と共に記載された「ノンアルコール」という表示に目を奪われ、実際のアルコール量をチェックすることは稀だと思われる。こうしたことから「ノンアルコールのつもりで飲んでいたが、実際には微少なアルコールを摂取していた」という事態にもなりかねず、消費者団体などが改善を求めていた。
このため、公取委ではノンアルコール飲料を製造するメーカーが加盟するビール酒造組合、日本洋酒輸入協会、日本ワイナリー協会、日本洋酒酒造組合、日本酒造組合中央会などの製造団体、さらには全国小売酒販組合中央会、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会などの販売6団体に対し、消費者の適切な商品選択に資する観点から、微少なアルコールが含まれている際にはその旨の表示を求めるなど、加盟事業者に対して「ノンアルコール」表示の適正化指導を要請した。