アウディが新型『A3』によって明快な顔を手に入れた。その名も「ダブル・グリル」。各メーカーがデザインアイデンティティの重要性を主張する中、アウディがこの顔に込めたのは「強いイメージとシンボル性」だった。
コンセプトカー『アバンティッシモ』から始まり、『パイクス・ピーク・クワトロ』で縦方向へのつながりを強調し、『ヌボラリ』で完全一体化されたこのダブル・グリルはフロントエンドに「縦のアイデンティティ」を与えている。
これらのコンセプトカーを担当したアウディの和田智シニアデザイナーは語る。「とにかく強い顔が欲しかった。先代もシンプルでレベルの高いものでしたが、顔が弱かったんです。よりプレミアム性と個性を与えたい、という強い希望がデザイナーの中にあったんです」
全体的なフォルムもウェッジの強い、よりソリッドでスポーティなものになった。「ずばり、テーマは明快なデザインです。ハデさは無いがしっくりくる、ウソの無いアジャスト(最適)なデザインを目指しました。ボディサイドのラインもショルダーにカチッとしたイメージを持たせています。さらにロッカーラインを強調することによって地面に押さえつけるような印象を与えました」
ロングタームを考え、革新よりも成熟性を選んだA3。しかし、アウディのエントリーモデルが得た「強い顔」はユーザーにとって「忘れられない顔」になるだろう。