人をぶら下げたまま走るのは緊急退避か---身の危険を感じたのは誰?

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昨年9月、「飛び石でフロントガラスが割れた」と言いがかりを付けてきた男性を自分のトラックのフロントにぶら下げたままの状態で高速道路を走り、殺人未遂罪に問われた34歳の男に対する判決公判が28日、名古屋地裁豊川支部で開かれた。裁判長は「男性が転落して死亡する可能性は高かった」として、男に対して執行猶予付きの懲役刑を言い渡している。

問題の事件は昨年9月14日の未明に発生している。愛知県豊川市の東名高速道路・上り線の赤塚パーキングエリア(PA)で被告の男が休憩しようと自分の運転するトラックを止めたところ、このトラックを追うようにPA駐車場に入ってきた別の大型トラックを運転していた男性が「お前の運転していたトラックが跳ね飛ばした石でこちらのフロントガラスが割れた。弁償しろ」と言いがかりをつけた。

被告は自分のトラックに乗り込み、その場を離れようとしたが、男性はバンパーに足を掛けてフロント部分に上がり、ガラスを叩くなどした。被告は男性をフロント部分に乗せたままトラックを発進させ、本線に進入。

豊川インターチェンジ付近で警察に停止を命じられるまでの5.5km区間を90km/h前後の速度で走り続けた。警察では「振り落とされた男性が死亡する可能性もあった」として殺人未遂容疑で逮捕、後に同罪で起訴された。

公判中、被告側は「身に迫る暴行の危険性を感じて逃げた」として、その場から一刻も早く離れたいという緊急退避的な考えでトラックを走らせたと主張。検察側が主張してきた「未必の殺意」を全面的に否定してきた。

28日の判決公判で名古屋地裁豊川支部の富田守勝裁判長は「被告はフロント部分にしがみつく男性を振り落とそうとワイパーを作動させるなどしており、その行為から切迫した暴行の危険性を感じたとは思えない」と指摘。被告側の緊急退避説を否定した。

その上で「ワイパーの作動と急な加減速は男性を転落させることを狙った行動であり、死亡する危険性が高いことを認識して行ったとしか思えない。そのことを考えるなら刑事責任は重い」として、懲役4年の求刑に対し、懲役3年(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。
《石田真一》

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