『グランツーリスモ・ルポカップ・トレーニングバージョン』をフォルクスワーゲン・グループジャパン(VGJ)と、ポリフォニー・デジタルがコラボレーションの形で作り上げるキッカケとなったのは、ポリフォニーの山内一典プレジデントが昨年「ニュービートルカップ」の競技車両に試乗したことだという。
このとき山内プレジデントは試乗した富士スピードウェイのコースをほとんど知らなかったにも関わらず、ラップタイムは「かなり良いタイム」で、これにはVGJのスタッフも驚かされたらしい。不思議がるスタッフに山内プレジデントは「バーチャルな富士スピードウェイは何度も走っていますから、ライン取りも把握していました」と答えた。
コースを知っていれば、実際のレースでも速く走れるのではないか、初心者向けのレースであればあるほど、それを活かすことができるのではないか……。開発の原点はそこにあったと関係者は語る。
もちろん、実際の走行に近づけるにはゲームの世界から抜け出すことも必要なのだが、これを後押ししたのが、今冬に発売が予定されている『GT4』(仮称)で採用予定の新技術だった。従来のGTシリーズには無い高精度の技術を使い、ゲーム性を排除してリアルに徹するという方向性が決まってからは開発も順調に進んだようだ。
リアルに徹してはいるが、「サーキットの特徴を把握するためのものであり、“このカーブには何km/hまでなら曲がれる”ということを試す性格のものではない」と山内プレジデント。しかし、ちょっとした挙動の乱れがラップタイムを左右するということは一目瞭然で、「失敗も先取りして反省材料にできる」ことがレース初心者にとって大きなアドバンテージになる。
従来のGTシリーズとは全く異なるコンセプトだが、これもGTのひとつの形。これをベースに開発が進められるGT4も楽しみだ。