安全運転義務の認識が相当に鈍ってる---ダンプでひき逃げの男に実刑判決

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横断中の小学生を大型ダンプではねて死亡させたにも関わらず、事故に気づかなかったことを装って逃走し、業務上過失致死と道路交通法法違反(ひき逃げ)の罪に問われた35歳の男に対する判決公判が25日、水戸地裁で行われた。裁判所は被告に懲役3年の実刑判決を言い渡している。

この事故は昨年11月25日の午前7時40分ごろ起きた。茨城県水戸市赤塚2丁目付近の国道50号線の交差点で、学校に登校するために横断歩道を歩いていた10歳の女子児童が、左折してきた大型ダンプにはねられて死亡したというもの。ダンプはそのまま現場から走り去った。事故の瞬間を目撃して追跡してきたクルマからクラクションを連打されて呼び止めるまでの500mほどをダンプは走ったが、警察の取り調べに対して運転していた男は「事故を起こしたことは気づかなかった」と供述。当初はひき逃げであることを否定していた。しかし、後に「バンパーに何か当たったような音を聞いた」と供述を一転させていた。

公判で検察側は被告が乗っていたダンプトラックは、左折時の安全確認に必要なために設けられている左ドア下部の小窓を故意に塞ぐなど、安全義務の怠りがあったことを指摘。また、前方の横断歩道を小学生が歩いていたことを認知していたにも関わらず、一時停止せずに交差点に進入したなどの落ち度があったとして、懲役4年を求刑してきた。

25日の判決公判で水戸地裁の下津健司裁判官は「歩行者がいるのを認識していたのにも関わらず、一時停止を怠るなどの基本的な注意義務を怠った傲慢な運転が事故につながった」と結論づけた。また、左ドア下部の小窓を塞いでいたことについては「事故と直接の因果関係は無いが、安全運転義務に関する感覚は相当に鈍っていたとしか考えられない」と痛烈に指摘。その上で「結果の重大性を考えるなら、被告には実刑が相当である」として懲役3年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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