警視庁は20日、昨年8月から10月下旬に掛けての間、東京都杉並区や中野区で相次いだ連続放火事件で、長野県在住の18歳少年を器物損壊容疑で逮捕したことを明らかにした。容疑については大筋で認めており、今後の取り調べで全容の解明を急ぐ。
警視庁の捜査一課と野方署の調べによると、問題の放火事件は昨年8月以降から杉並区や中野区で連続47件発生している。手口はいずれも共通で、駐車中のクルマやバイクの布製ボディカバーにライターなどで火をつけて燃やすというもの。一番最初の放火は8月11日とみられており、いずれの事件も半径2.5kmと極めて狭い地域で起きていた。1日に6〜7件が連続して起こることも特徴のひとつで、当初は駐車中のクルマやバイクを狙うのみだったが、9月ごろからは犯行が次第にエスカレート。民家やアパートなどに侵入して火を放つなど、犯行形態が悪質化していた。
警察では火災現場などに集まった野次馬をビデオ撮影するなどして犯人捜しに全力を尽くしたが、その行方は全く不明。さらに犯行がエスカレートするものと危惧していたが、11月になると犯行がパタリと収まった。
撮影したビデオの分析、目撃者の証言などをまとめたところ、火災現場周辺で度々目撃された自転車に乗った少年の存在がクローズアップし、さらに聞き込みを行っていたところ、10月下旬まで杉並区内の新聞販売店で配達員として働いていた少年と酷似していることが判明。少年が実家のある長野県に戻ったのと同じタイミングで連続放火の被害も無くなっていることから、少年が犯行に関与した疑いが濃厚になったとして、長野県に捜査員を派遣。少年に任意同行を求め、事情聴取を行っていた。
その結果、「エアコンの無い部屋でよく眠れず、あまりにも暑くてイライラした。中野と杉並でいっぱいやった」と、犯行を大筋で認める供述を行ったため、器物損壊容疑で逮捕した。
警察では今後も少年を厳しく追及し、連続放火事件の全容解明を急ぐとしている。