板橋区(東京都)は30日、全国で初めて「自転車安全利用条例」を制定することを明らかにした。自転車で行う無謀運転のうち、道路交通法に該当しない部分を区が制定する独自条例で取り締まる。罰則規定は設けないが、違反者には警告が行われる。
自転車は軽車両に分類され、信号無視や一時停止違反を行うと道路交通法による処罰対象となる。しかし、実際には自転車に道交法違反が適用されることはなく、事実上の黙認状態。取り締まられることがないため、自転車の無謀運転がさらに増加するという悪循環に陥っている。自転車が歩行者と接触したり、車道に突然飛び出して自動車のドライバーを驚かせるなどのトラブルは後を絶たない。
板橋区では昨年5月、横断歩道を渡っていた主婦が自転車にはねられて死亡するという事故が起きている。この違反者には道交法が適用されたが、クルマと違って自賠責保険や任意保険に加入しているというわけではなく、被害者の遺族に対しての賠償金は支払われていないという。
こうした痛ましい事故の再発を防止するため、板橋区が全国に先駆け、走行中の自転車を対象とした安全利用条例の制定を決めた。罰則規定は設けないが、信号無視や歩道をハイスピードで暴走するなど、悪質な行為が確認された場合、区の指導員が「安全上、問題がある」として警告を行う。
区では「自転車の利用者は何をやっても捕まらないと思っている。悪いことをすれば捕まることもある。さらに悪質なケースでは道交法が適用されることもあるということを周知徹底させていきたい」とコメント。来年度予算にはこの制度をアピールするための特別予算(約670万円)も計上している。