22日午後、福岡県桂川(けいせん)町の町道で、窃盗容疑で指名手配されている男に職務質問しようとした警官が、男の運転するクルマに右足を踏まれるという事件が起きた。男は逃走しようとしたために警官は拳銃を発砲。弾は男の左足に命中した。
福岡県警・飯塚署の調べによると、事件が起きたのは22日の午後2時ごろだという。桂川町豆田付近のアパート駐車場に「不審なクルマが止まっている」と警察に対して通報があった。警察官数人が現場に向かうと、現場近くには数台のクルマ(全て盗難車)が止まっており、不審な男が荷物の入れ替えなどを行っていた。やがて男がそのうちの1台に乗って出発しようとしたため、警官が職務質問しようと近づいたところ、男は素早くクルマに乗り込み、警官に向かってクルマのアクセルを踏み込んだ。
クルマの正面にいた30歳の巡査部長が両手を広げて「止まらんと撃つぞ」と警告。1発を空に向けて発砲したが男はクルマを止めようとせず、立ちはだかる巡査部長の右足をタイヤで踏んでなおも逃走しようとした。巡査部長はなおも男のクルマを追い、助手席側から3発を発射。このうち1発がドアを貫通し、男の左足に命中した。
男のクルマはそのまま町道を500mほど走ったが、別の警官がパトカー追跡して道路を塞ぎ、男の身柄も確保した。男は左足に銃弾が当たり、全治3週間程度の重傷。クルマに右足を踏まれた巡査部長は足の指などに軽傷を負った。
警察は男を公務執行妨害の現行犯で逮捕したが、後の調べでプレジャーボートから船外機を盗んだ容疑で大分県警から窃盗容疑で指名手配されていたことがわかった。事件の際に使っていたクルマも盗難車で、警察では窃盗の余罪についても男を厳しく追及していく方針だという。
なお、発砲について福岡県警では「警告したにもかかわらず、署員の足をひいてまで逃走しようとした。警官は実際に身の危険を感じており、正当防衛上許される発砲だったと考えられる」とコメントしている。