愛知県警は20日、県内の中高生や、中高生を持つ家庭を対象に実施したアンケート調査の結果を明らかにした。暴走族に加入するなど、非行歴のある少年は家庭内でのコミュニケーションが少なく、食事を1人でとる傾向が強いことなどが判明したという。
このアンケートは愛知県警・少年課(非行集団対策課)と、県の教育委員会が一昨年から昨年に掛けて共同で行ったもの。県内在住の中高生と、その親を対象としたもので、学校配布分を教育委員会が、何らかの犯罪を犯して検挙歴のある少年とその親に対しては県警が中心となって実施している。アンケートは同一の設問内容としており、回答内容の差異で少年非行の問題点を探るものだった。
この結果、検挙歴のない少年がいる家庭と、検挙歴のある少年のいる家庭では、家族とのコミュニケーションに要している時間が後者の方が少ないことがわかった。著しいほどの違いが出たのは食事に要する時間で、「朝食を食べる」と回答したのは検挙歴なしの中学生が全体の77%、高校生が同79%だったのに対し、検挙歴ありの場合、この数値が中学生34%、高校生(退学者は16−18歳)で44%となり、非行に走る少年が朝食を食べていないという実情がわかった。
また、コミュニケーション不足を象徴するものとして現れたのが、「1人で食事をすることがあるか」という質問。「家では1人で食事をとることが多い」という設問に“はい”と答えたのは、検挙歴なしの中学生が6%、高校生が11%だったのに対し、検挙歴ありの場合にはそれぞれ19%、23%となり、この部分では大きな差が出た。
この結果を受け、保護者を対象に行った追加アンケートで「少年非行と、家での食事には密接な関係があると思うか」と質問したところ、検挙歴のある少年を持つ家庭では63%が“ある”と答えたのに対し、検挙歴のない家庭ではこれが85%まで拡大した。
県警では「家族で食事を取るということは、家庭内コミュニケーションを取る意味ということでも非常に重要だが、検挙歴のある少年を持つ家庭ではこの部分が軽視されているのではないか」とコメントしている。