路面が滑りやすい状況だったにも関わらず、自分の運転能力を誇示するために制限40km/hのカーブに130km/hで突っ込み、運転を誤って電柱に激突。同乗していた友人2人を死傷させ、危険運転致死傷罪に問われていた20歳の男に対する判決が27日、松山地裁で言い渡された。裁判長は「状況を判断しない無謀な行為」として、懲役4年6カ月の実刑判決を言い渡している。
判決によると、この事故が起きたのは今年7月18日の午後11時48分だという。愛媛県松山市藤野町の国道317号線で、右カーブを逸脱して直進したクルマが電柱に激突。後部座席に乗っていた19歳の女性が脳挫傷で即死、助手席の19歳女性が全身打撲などで全治3カ月の重傷を負ったというもの。運転していた当時19歳の少年は警察の取り調べに対して「運転を誤った」と供述していたが、事故当時のスピードが制限速度の3倍近い120−130km/h程度であることが判明したため、危険運転致死傷容疑で送検していた。
公判中、この少年がただ運転を誤っただけではなく、友人のクルマとカーチェイスを行っていたことが発覚。また、同乗して死亡した女性が事故直前、「雨が降っているから危ない、やめて」と頼んだにも関わらず、「俺は運転がうまいから大丈夫」といって強行していたこともわかった。少年は一緒に走っていた友人に対して「競争していたことは黙っていてくれ」と依頼していたこともわかり、検察では「悪質な証拠隠滅」と指摘していた。
27日の判決公判で松山地裁の高橋徹裁判長は「被告は高速度でのはなはだ無謀かつ危険な競走を常習的に繰り返しており、起こるべくして起こった事件」と指摘。動機も「自分の運転技術を仲間に誇示したかったがため」と認定し、その上で「路面が濡れていたにもかかわらず、自分の力を誇示することだけに固執し、制限を大きく超える120−130km/hの高速度でカーブを曲がろうとするなど危険性に対する認識が極めて希薄。事故後、友人らに虚偽の証言を依頼するなどもしており、その犯行は悪質としかいえない」として、懲役6年の求刑に対して、懲役4年6カ月の実刑判決を言い渡した。