今回、オムロンとモバイルキャスト両社が発表したテレマティクスサービスは、アフターマーケットに売り込んでいくことを最大のポイントとしている。自動車メーカーに依存せず、特定の機種や端末にも依存しないということを前面に押し出しているが、それだけに特徴が見え難くなっているのも事実だ。
これまでのテレマティクスの場合、例えばトヨタ『G-BOOK』などではその機能に対応する専用の端末が必要で、ホンダや日産のクルマのユーザーがG-BOOKサービスを受けることはできない。ところが両社が進めるテレマティクスサービスは、従来の機器に後付ける形で車載サーバーを載せれば、連携させる機能を持ったカーオーディオ(あるいはナビ)を搭載しているクルマであればメーカーを問わずに利用できる。
この点ではパイオニアがカロッツェリア『Air Navi』で実現させようとしているサービスに近いものといえるが、ナビとは連動させない形で音楽配信を行おうとしたり、KDDIが開発を進めている新規格の通信モジュール「CDMA2000 1X/EV-DO」への対応を現時点で明言するなど、一歩踏み込んだ内容だとも言える。現状のプランではTASに対応できるカーナビやオーディオと、車載サーバーが完全に分離されているので、それぞれの機能にあったOSを搭載できるという意味で、互いのシステムの足を引っ張らないというメリットもある。
ただし、全てが順調というわけではなさそうだ。現時点でサービス提供を明らかにしているコンテンツホルダーはJTB(観光情報)と、JRS(ロードサービス)だけ。モバイルキャストの赤池英二社長は「サービス開始までに80−100程度のコンテンツを用意したい」と説明するが、それが実現するかどうかは未知数だ。音楽コンテンツだけをみても著作権から提供する音質をどの程度にするかまで、様々な問題が持ち上がっている。
サービス開始までにはまだ時間があるので、これがサービス開始直前までにどう変わっていくか注目したいところだが、現時点ではユーザーがテレマティクスに何を求めているのかという点を両社が完全には理解できていないようにも思えた。