去る19日、社団法人日本インダストリアルデザイナー協会=JIDAが主催して、「新世紀デザイン革命---美しく豊かな国への挑戦」をテーマにフォーラムが開催された。基調講演を日産のカルロス・ゴーン社長が行ない、活発な質疑応答が交わされた。
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参加者:製品を作る人であるデザイナーと、それを使う人であるユーザーとのあいだに、企業ではたとえば「販売」といった部署が入る。そういった“妨害”をどうするか?
ゴーン:自分の気に入ったデザインは気をつけなければならない。逆に嫌いなデザインはしばらくたって振り返ってみなければならない。デザインの良し悪しは3〜5年後を見通して判断しなければならない。セールス部門は今のお客様の声からデザインの良し悪しを判断する。しかしデザイナーはある程度「現在」を無視しなければならない。
カーデザインは情緒に訴える。自動車を買うということはある程度、非合理的な選択。ただ値段が安いからといって買うものではないのだ。したがって情緒を忘れてはいけない。街で見る日本の車は清潔だ。日本人はクルマを愛しており、日本人はクルマに対する情緒が強い。
自動車の開発には分野横断的な組織が必要で、その組織改革を日産で行なった。デザインと技術とは同等の価値を持つものなのだ。情緒と理性のバランスを、90年代の日産は忘れていた。情緒、エモーションを形にするのがデザインのひとつの役割だ。