今回発表された『モビリオ・スパイク』は、昨年12月に発売された『モビリオ』の名前を冠に乗せているが、実際には全く異なるイメージのクルマとなった。元祖の方はヨーロッパの路面電車(LRT)をモチーフにしているが、こちらはガレージボックスだ。“箱”というだけあり、スクエアなイメージはより強調されている。パッと見ただけの印象では、巨大化した『That's』(ザッツ)という感じがする。
全く違うイメージなのに、あえてモビリオの名称を踏襲した理由とは何か。その理由について、和光研究所デザインAスタジオの村上邦俊研究員は「当初は違う名前にすることを考えていたようなのです」と笑う。実は発表ギリギリまで別の名称にすることが検討されてきたようなのだが、内部で「これも新しいモビリティだろう」という声が強くなり、急きょ決まったらしい。
『フィット』から続くグローバル・スモールプラットフォームを採用しており、ホイールベースもモビリオと同一。運転席と助手席のドアに前傾ヒンジを採用し、開口面積を広げていることも変わらない。そうした意味ではモビリオ・シリーズだと言ってしまっても違和感がないのも事実だ。
モビリオとの最大の違いはCピラー部分を極太サイズとして、荷物の収納スペースを確保したこと。気になるのは後方の見切りがピラーによって阻害される心配のあるということだが、村上さんいわく「モビリオよりは低下していますが、たとえCピラー部分に窓があったとしても、運転席からは角度の関係で小さくしか見えません。ですから窓が無くても実害は生じないということが実験でわかっています」とのこと。