『G-BOOK』端末の画面はユーザー自身がカスタマイズできるようにもなっている。設定した内容はSDカードに保存することもできるが、G-BOOKセンター内に設置されたUCS(ユーザー・カスタマイズド・サーバー)に保存することもできる。
G-BOOKはメーカーが設定した基本設定をカスタマイズし、自分にとって使いやすくすることができる。カスタマイズ項目は多岐におよび、画面のレイアウトだけではなく、クルマに乗ったときに必ず実行する項目(オートプレイ)のメニュー設定や、メール受信の設定。お気に入りのコンテンツをブックマークさせることも可能だ。
こうした設定内容はSDカードに保存することもできるが、G-BOOKセンター内に設置されたUCS(ユーザー・カスタマイズド・サーバー)のユーザースペース内に退避させることも可能だ。コンビニエンスストアに設置されたEタワーを使ってダウンロードした音楽コンテンツや、すぐに活用しなくてはならないコンテンツはSDカードに入れて使う方が便利で、トヨタでもそれを推奨している。ただし短期間で消去することなく、長期に渡って使いまわす設定情報はサーバーに退避させることで、誤って消去することを防ぐ狙いもある。
UCSのうち、G-BOOKユーザーが個々に使える最大容量は特に設定されておらず、常識の範囲で使えるようだ。ただし、設定情報を退避させるということを主眼に置いているため、音楽ファイルや写真など、データ容量の大きなものを退避しておくことは考えられていない。
「データ保持が目的」ということを前面に押し出す一方、端末を買い換えた際に元の環境をそのまま継承できるというのも強調している。例えば数年後、クルマの買い替えをしようと思ったとき、トヨタのセールスマンが「G-BOOK対応のトヨタ車なら使い慣れたナビの環境をそのまま新車に持っていけますよ」とアピールできるわけだ。
クルマの買い替えなら環境の移動はほとんど意識しないが、情報端末となると話は別。パソコンでは新しく買った端末に、いかに前の環境をスムーズに移すかで頭を悩ませる人は多い。『Windows XP』には、環境移行ツールが標準で装備されるようになった。標準ということは、それだけ使う人が多いということを意識したに他ならない。
発表したその瞬間に、環境移行のことをアピールするというところにトヨタがG-BOOKでユーザーを囲い込み、さらなるシェア拡大を目指すという戦略も見え隠れする。