『G-BOOK』で提供されるコンテンツには、月々の定額料金の枠内で利用できる約30の無料コンテンツと、利用する際に料金を支払うタイプの有償コンテンツのものがある。
無料で提供されるコンテンツは現時点では31種で、この中にはG-BOOKの目玉のひとつである「ライブナビゲーションサービス」に連動させるためのレストランガイドや、ニュースや天気予報を読み上げる「インフォメーションサービス」用のコンテンツも含まれている。有償で提供されることになるのはレジャー情報やセキュリティサービスで、頻繁に使われることはないようなものが主流だ。
そのあたりNTTドコモ携帯電話サービス「iモード」の公式コンテンツと似たような展開ではあるが、最大の違いは開始時点で類似するコンテンツがなく、競合状態になっていないこと。携帯電話のコンテンツサービスではサービス提供の当初から同業の会社が競合することで切磋琢磨し、その内容とサービスを向上させてきたという経緯がある。しかし、G-BOOKにはそれがない。
この点についてトヨタ自動車の加藤喜昭・第5開発センター/第1電子技術部長は「我々が参加を拒んでいるわけではなく、門戸を広げ、開発ソースも公開してお待ちしている。競争は結構、どんどんやってほしい」と語る。Eコマースなどの分野で有名な会社が参加していないのは、先方が「G-BOOKとはなんだ?」と様子見していると考えているからで、実際に動き出せば多数の企業が参加するのではないかというのがトヨタの予測だ。
「Eタワーにしても、同様のシステムを持つ大手のコンビニもある。そこが相乗りしたいと言うなら拒まない。コンテンツだって、類似していたとしても最終的に選ぶのはユーザー。あえて選択の幅を縮める理由はありません」とも加藤部長は言う。
ITは形が見えないから難しいと言われることも多いが、形が見えないだけに様子見が続いているということらしい。来年以降、メーカーオプションの純正ナビに組み込まれていく予定だが、G-BOOKが本格的にブレイクするのはその頃かもしれない。