『Number』8月10日号 税込み価格 510円 発行:文藝春秋
現代最高のドライバーと称されるミハエル・シューマッハは、これまで天才と呼ばれてきたアイルトン・セナやライバルであるミカ・ハッキネンなどとは違ったタイプのドライバーだ。本誌ではシューマッハへのインタビューから究極のドライビングの世界を伝える。
シューマッハとハッキネンは対照的なトップドライバーだ。例えるならハッキネンは“天然”の天才であるのに対し、シューマッハは“冷静”な天才だ。アイルトン・セナはその昔「スピードの向こうに王国があるのはわかっている」と語った。アラン・プロストは現役時代「大切なのはスピードではない。マシンと一体になること」と言った。ハッキネンの“天然”とはこの延長にある純粋なモノであるのではないか?
しかしシューマッハはこれらのことを「そういうものはとても詩的なものに聞こえる」とクールに一掃する。彼の走りは理性的で優れた作戦を持つ。すべてを明確に判断し作戦通りにレースを終えることが彼を満足させるのだ。彼はある意味で自分の仕事に対しての“天然”なのだ。
クールに“仕事”をこなしていくシューマッハ。彼が“現代”最高のドライバーと呼ばれること、フェラ−リが作戦でレースし、メルセデスが天然の走りをすること、時代の変わり目を感じずにはいられない。