初代モデルの曲線を生かした柔らかなラインから一転して、面をそぎおとしたサイドのキャラクターラインがなんとも印象的だ。
『ニューRAV4』のデザインは日本、ヨーロッパ、アメリカの各デザインルームのコンペで競われた。これは近年のトヨタ流ともいえる手法で、結局4台のなかから、ウィナーはキャルティ(カリフォルニアのトヨタデザインセクション。組織としては別会社)となった。
「もちろん、それをベースにトヨタ自動車本社のデザインが最終仕上げをしていますが、ほぼオリジナルに近いですね。ポイントになったのは、他にないオリジナリティということですね。彫刻的な造形というのでしょうか」と語るのは、デザインを担当したトヨタ自動車の第3デザイン部長、福市得雄氏だ。
キャルティといえば、前回のモーターショーにも出品されたコンセプトカー、 『ニュー』を手がけたことでも知られている。ハリアーをベースに、サイドまで回り込んだ異形ヘッドランプやフェンダーフレアが印象的だったデザインアプローチは、今回のRAV4にも受け継がれている。『ニュー』は今回のデザインスタディだったのか。
複雑な面で構成され、アクティブなアメリカのデザインに対し、ヨーロッパのデザインはむしろ静的でシティーコミューターに近い印象だったそうだ。これは先代モデルがパリやミラノで人気を呼んだ、“スタイリッシュなクルマ”だったこともあるのだろう。
「でもスモールSUVといえば、やはりアウトドアをアクティブに走り回るイメージが強い。海外ではさまざまなクルマが走っていて、個性がないと埋没してしまいます。今回は走り去る姿だけをみても、RAV4と認識できるようなデザインになったと思いますよ」
ヨーロッパの古い街並みよりも、西海岸の強い日射しをデザインのスパイスにしたということなのである。