自動車関係17団体が連名でまとめた来年度税制改正に関する共同要望について、運輸省が所管の8団体に圧力をかけ連名からの脱退を迫っていたことがわかった。
共同要望では低燃費・低公害車の普及促進は「減税型」で進めるべきであるとしており、燃費の悪い車に重税を課す運輸省のグリーン化案に反対する内容となっている。自らの所管団体という身内の裏切り的行為に怒っての行動とみられるが、業界関係者は「所管の役所だからといって業界の要望に口を出すなどという行為は大人げない」と不愉快をあらわにしている。また「一種の言論統制に近い行為」との厳しい批判も出ている
これについて運輸省は「説明を求めただけ」と直接的に連名からの離脱を強要したことはないと説明しているが、説明を求める行為自体が圧力になることも官民の関係では常識だ。
ただ団体側の姿勢も中途半端なものといわざるを得ない。共同要望すると決めた時点で運輸省の反発を招くことは予想していたはず。それにも係わらず「説明」を求められただけであっさり身を引くのは理解しにくい。
さらに分からないのは、JAF(日本自動車連盟)までも業界団体と同じタイミングで連名から離脱したことだ。運輸省から圧力を受けたからといって、さっさと要望を引っ込めるのは「ユーザーのための団体としてとるべき行動ではない」とその姿勢を厳しく批判する声が関係者から挙がっている。JAFも運輸官僚の天下り先であるだけに、業界団体と同様、運輸省には逆らえないのが現実なのだろう。