新型A3は随所に重厚感を感じることができ、2代目にして貫禄すら感じられる中身の熟成ぶりと落ち着きのあるスポーティさが印象的。
快適装備も安全装備も、必要なものはぜんぶ揃っているが、余計なものはついていない。「スタンダード」という言葉を想起させる爽やかな実用ハッチだ。
もちろん技術的な成果としては素晴らしい。4気筒とほとんど変わらぬサイズにロッパツを詰め込んだ凝縮のセンスなど、まさに小さな宇宙と呼びたい。
基本メカを共用する新世代ゴルフに対し、まず3ドアから輸入発売するなど意識的にスポーティ風味を強調するが、けっして熱さをひけらかさないのがニクい。
時間の問題だ。アウディがカーメーカーを超越してアルマーニのような名ファッションブランドになるのか。このA3を見てそう思った。
この進化は見事。日本でスポーツセダン(&ワゴン)のスタンダードを塗り替えたレガシィが、今度は世界のスタンダードを狙うようだ。
今まで日本車は何度もヨーロッパのメーカーに勝負を挑んできたけれど、正面からぶつかって勝てるモデルとなると難しかった。
アウディというブランドや、A3のスタイルが好きならいいだろうけれど、あの価格帯のクルマとして評価すれば「普通」だ。
見た目は何とも平凡だ。なんていうことのない、お行儀の良いFF2boxスタイル。鮮味を感じないのは、80年代中頃によく似た2代目FFファミリアを思い出したからか。
さらに一歩前進。レガシィは、先に登場していた2リッター水平対向4気筒シリーズの段階で、国産車では困難とされるプレミアムブランドへの道を目指す姿勢を明らかにしていた。