コメリと日本通運は、日本パレットレンタル株式会社(JPR)のレンタルパレットを活用した国際輸送での一貫パレチゼーションを開始したと発表した。
一貫パレチゼーションとは、標準化されたパレットを企業間で共有し、物流の結節点で生じる人力による荷役作業を解消する取り組み。コメリが中国から自社開発商品を輸入する際、JPRのプラスチック製レンタルパレットを使用することで、海上コンテナへの積み込みから日本国内の物流センターまで、パレットに積載したまま輸送できるようになった。
中国の輸出拠点となるNX中国がJPRからレンタルパレットの供給を受け、商品をパレットに積み付ける。海上コンテナへのバンニング(積み込み)をパレット単位で行い、海上輸送を経て日本に到着。日本通運が輸入港からコメリ物流センターまでドレージ(陸送)し、海上コンテナからのデバンニング(荷下ろし)もパレット単位で実施する。コメリ物流センターに商品がパレット積みのまま輸送され、空になったパレットはJPRに返却される仕組みだ。
コメリは1999年から日本通運に中国からの輸入業務を委託してきた。当初は海上コンテナの積載効率や輸送コストを考慮し、カートン(バラ)での輸送を行っていたが、コンテナへの積み込みや荷下ろし作業に長時間を要し、肉体的負担も大きかった。
2024年5月からは物流2024年問題に備え、木製のワンウェイパレットを利用した輸送に変更し、物流現場の負荷を軽減した。しかし木製パレットは購入費が高額で、輸送が一方向のため使用後の廃棄が発生し、コストと環境負荷の両面で課題となっていた。
2025年9月にJPRのプラスチック製レンタルパレットによるテスト輸送を実施し、10月から本運用を開始。これにより木製ワンウェイパレットの課題を克服し、安定的なパレット輸送が可能となった。
本運用による効果は大きい。40フィートのバラ積みコンテナと比較して、1本あたり約2時間の作業時間短縮を実現。年間では約1016時間の削減となる。また年間約2万枚以上の木製パレット廃棄をゼロにし、年間約170トンのCO2削減にも貢献している。
人手不足が深刻化している物流業界では、物流の結節点で生じる手荷役作業に起因する長時間労働や過重な肉体的負担の解消が求められており、国も企業に対策を促している。今回の取り組みは、こうした課題に対する有効な解決策の一つとなる。






