オンセミは12月5日、イノサイエンスの実績ある200mm GaN-on-Siプロセスを活用して、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスの生産拡大を検討するために、同社との間で覚書を締結したことを発表した。
この協業は、オンセミのシステムインテグレーション、ドライバ、パッケージングの専門知識と、イノサイエンスのGaNウェハおよび大量生産におけるリーダーシップを融合させ、費用対効果の高い省エネルギーソリューションをより迅速に市場へ提供し、GaNの普及を加速させることを目的としている。
本協業により、オンセミの低・中電圧GaNパワーポートフォリオが拡充され、世界規模でGaN製造を拡大することで、市場投入の迅速化と採用拡大を目指す。
この法的拘束力のない覚書(MOU)は、ウェハ調達や拡張的な提携を含む戦略的パートナーシップを定め、オンセミのGaNパワーソリューションとイノサイエンスの先進的なウェハ製造を活用することで、2030年までに29億ドル規模と予測されるGaNパワーデバイスの獲得可能な最大市場規模(TAM)をターゲットとし、その結果、両社に数億ドル規模の潜在的な価値をもたらす。
この取り決めは、具体的にはオンセミのパッケージング、ドライバ、システムインテグレーションの専門性と、イノサイエンスの実績あるウェハ製造能力を組み合わせることで、両社が顧客に大きな価値を提供するための取り組みを支援するものである。
両社の技術を融合することで、産業、自動車、通信インフラ、コンシューマー、AIデータセンター市場向けに、より小型で高効率なGaNソリューションを実現することが期待される。
GaN半導体デバイスは、高速スイッチング、小型化、低エネルギー損失を実現し、より少ないスペースでより高い出力を提供する。これまで、低・中電圧分野では製品ラインアップと製造能力の制約により、GaNの普及が遅れていた。
この提携を通じて、両社はこれらの障壁を克服し、主流市場向けに最適化されたGaNソリューションを世界規模で大量かつ迅速に展開することを目指す。
産業向けには、ロボット用モータードライブ、ソーラーマイクロインバータ、オプティマイザーなどに対応。自動車向けには、DC-DCコンバータ、同期整流を提供する。
通信インフラ向けには、DC-DCコンバータ、ポイントオブロードコンバータを展開。コンシューマー・マスマーケット向けには、電源、アダプター、DC-DCコンバータ、モータードライブ、オーディオ、ライトeモビリティ、電動工具、ロボットなどに対応する。
AIデータセンター向けには、中間バスコンバータ、DC-DCコンバータ、バッテリーバックアップユニットなどを提供する。
オンセミの顧客にとって、イノサイエンスとの提携によりさまざまな効果が期待される。
より迅速な市場投入では、オンセミのシステム専門知識とイノサイエンスの実績あるGaN技術および製造能力を活用し、迅速なプロトタイピング、デザインインの加速、主流市場への迅速な参入を達成する。
スケーラブルな製造では、オンセミのグローバル統合およびパッケージングの経験とイノサイエンスの確立されたGaN生産能力を活用し、大量生産の立ち上げに対応できる真のマスマーケット拡張性を実現する。
システムコストの低減では、最適化されたパッケージ、部品点数の削減、簡素化された熱管理による、コンパクトな設計と低い総システムコストを実現する。
GaNは2030年までに、世界のパワー半導体市場の約29億ドル(シェア11%)を獲得すると予測されており、2024年から2030年の年平均成長率は42%と見込まれている。
このイノサイエンスとの提携は、現在シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、GaN技術を網羅するオンセミの包括的なインテリジェントパワーポートフォリオをさらに強化するものだ。
これらの技術を組み合わせることで、オンセミはAIデータセンター、自動車、産業、コンシューマーの各分野でアプリケーションに最適な電力システムを提供することが可能になる。
この包括的な低・中電圧ポートフォリオは、世界的な電化とAIによるエネルギー需要が急増し続ける中で、性能とエネルギー効率の最大化で顧客を支援する、全面的に統合された電力システムの主要プロバイダーとしてのオンセミの地位を強固なものにする、としている。



