ドイツのベクター・インフォマティクは、2026年および2027年から施行されるEUのAFIR(代替燃料インフラ規則)新要件に対応するプラグイン型コントローラー「vSECC.single Board」を発表した。
AFIRの改正により、2026年1月8日以降に新設または大幅改修される公共のAC充電ポイントは、EN ISO 15118-2:2016規格への対応が義務付けられる。この規格では車両と充電ポイント間の電力線通信(PLC)を使ったデジタル通信を定義し、Plug & Chargeのようなカードやアプリを使わない自動認証機能が利用可能になる。
2027年1月1日からは、すべての家庭用充電ポイントについてもEN ISO 15118-20:2022規格の実装が求められる。この改正により通信機能は大幅に拡張され、Park & Charge(PnC)に加え、双方向アプリケーションが導入される。電気自動車は電力をグリッドから受け取るだけでなく、グリッドに供給することも可能になる(BPT:双方向電力伝送)。
これまでのシステムは、IEC 61851-1で定義されたPWM(パルス幅変調)によるアナログ通信に依存し、車両と充電器間で最大電流値を伝える基本機能しかサポートしていなかった。しかし、PnCやBPTのような高度な機能には、デジタルPLC機能を備えた高性能なコントローラーが必要となる。
vSECC.single Boardは、AFIRの要件をすべて満たし、AC充電に必要な通信ロジックを備えた制御ユニット。カスタム電子機器に柔軟に取り付けることができ、PCB設計を制約せずにインテリジェント制御と通信機能を追加できる。
ベクターは独自のハードウェアを開発するメーカー向けに、ISO 15118準拠を保証した実績あるソフトウェアライブラリ「vSECClib」も提供している。さらに、充電およびエネルギー管理システム「vCharM」は、既存エネルギー管理ソリューションへの統合に対応し、双方向充電を可能にする。
AFIRは、EV充電ポイントを含む代替燃料インフラストラクチャの整備と運用を定めるEU規則で、加盟国での法律改正を待たずにEU全域で直接適用される。その目的は、ヨーロッパ全体での相互運用性とユーザーの利便性を確保すること、としている。



