AI搭載「i.MX 952」プロセッサ発表、車載HMIと車内センシング強化…NXP

AI対応i.MX 952アプリケーション・プロセッサ
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NXPセミコンダクターズは、i.MX 9シリーズのアプリケーション・プロセッサ「i.MX 952」を発表した。

i.MX 952は、AIを活用したビジョン、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)、車内センシング・アプリケーション向けに設計されている。内蔵されたeIQ Neutronニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)のセンサ・フュージョンにより、ドライバー・モニタリング、子供の存在検出などを実現する。

i.MX 952 SoCはi.MX 95ファミリとのピン互換性があるため、開発者にとっては単一プラットフォームでさまざまな価格帯に対応するハードウェア、ソフトウェア設計を容易に拡張できる。これにより、コストを抑えつつ、市場投入までの期間を短縮することが可能になる。

車内センシング・システムは、Euro NCAPなどの国際的な法規制や規格により、ドライバーの注意レベルの把握、エアバッグの正確な調整、子どもが車内に取り残されていないかの検知など、さらなる高度化が求められている。i.MX 952は、AIによって複数センサのデータを統合し、堅牢性、拡張性、コスト効率に優れた車内センシングを実現する。

NXPセミコンダクターズ、エッジ・マイクロプロセッサ担当副社長兼ゼネラル・マネージャーのDan Loop氏は「センサ・フュージョンにAIを活用することにより、車内や周囲の状況を正確かつ有用な形でドライバーに表示できるようになった」と述べている。

i.MX 952は車載用アプリケーションに加え、AIを活用した監視や環境センシング、HMIシステムなど、産業用アプリケーション全体で使用することができる。現代の産業環境では24時間365日稼働を前提とした運用が求められ、設備故障や物流のボトルネック、安全上の問題などを迅速に特定し、それに対応するとともに、生産環境の変化に合わせて柔軟に適応できることも必要である。

i.MX 952は、NXPのeIQ AI ソフトウェア開発環境でサポートされており、ビジョン処理やセンサ・フュージョンに適したコスト効率の高い低消費電力ソリューションである。複数のカメラ・センサに対応したeIQ Neutron NPUを内蔵しており、最大500メガピクセル/秒の処理が可能な統合イメージ・シグナル・プロセッサを搭載、RGB-IRセンサにも対応している。

i.MX 952 SoCは、最大4基のArm Cortex-A55コアを備えたマルチコア・アプリケーション・ドメインにより、低消費電力で高性能のリアルタイム処理を実現するとともに、Arm Cortex-M7とCortex-M33 CPUから成る独立したセーフティ・ドメインを搭載している。i.MX 952ファミリは、ISO 26262 ASIL Bに準拠したプラットフォームとSIL2/SIL3準拠プラットフォームをサポートしており、安全性が重視される産業分野での迅速な導入を可能にする。

i.MX 952 SoCは、車載用、産業用プロセッサとしては世界で初となるローカル・ディミングを搭載するプロセッサ。これにより、車内のLCDパネルやヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)の低消費電力化と高コントラスト化を実現するとともに、屋外用HMIパネルの輝度を動的に調整することで、厳しい照明条件下でも最適な視認性を確保する。

i.MX 952は、EdgeLockセキュア・エンクレーブ(Advanced Profile)を統合しており、ISO 21434やIEC 62443などのセキュリティ規格や欧州サイバー・レジリエンス法などの規制要件に対応するよう設計されている。組み込まれたEdgeLockセキュア・エンクレーブはハードウェアの信頼の基点(Root of Trust)として機能し、セキュア・ブート、セキュア・アップデート、デバイス認証、セキュア・デバイス・アクセスなどの重要なセキュリティ機能の実装を簡素化する。また古典暗号とポスト量子暗号(PQC)の両方をベースとしており、将来にわたって安全性を確保する、としている。

《森脇稔》

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