「衝突被害軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」では、警告が鳴ったら「運転者がブレーキを踏む」必要があることを知っている人は、運転免許保有者全体の半分以下! 特に女性は男性よりも10ポイント低い結果になった。
ASVとは、Advanced Safety Vehicle、先進安全自動車のことだ。住商アビーム自動車総合研究所は、国土交通省が推進する第7期ASV推進計画において、普及啓発活動を受託しており、その活動の一環として、国交省が行なった「令和5年度(2023年度)ASV機能に関する調査」の調査結果を分析した。
■ASVは普及、女性は利用に消極的
自家用車に衝突被害軽減ブレーキを搭載している人は、全体の1/3。全車速ACC(Adaptive Cruise Control、車間距離制御装置)やレーンキープアシストを搭載している人は1/4となり、普及が進んでいる。自家用車に全車速ACCやレーンキープアシストを搭載している人のうち、実際の利用率は男女で差があり、男性は積極的に利用しているいっぽうで、女性の利用率は低く、特に全車速ACCの利用率が低い。
■ACCの機能限界を知らない人が多い
「衝突被害軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」について、「どちらの機能も警告が鳴ったら、直ちに運転者がブレーキを自ら踏む必要がある」ことを知っている人は全体の半分以下だった。特に女性は男性よりも10ポイント低い結果になった。
「必要がある」と答えた割合は、性・年代別で、男性では18~29歳が51.7%で最高、40歳代が40.5%で最低、女性でも同様の傾向で、18~29歳が45.0%で最高、40歳代が32.8%で最低となった。
全車速ACCやレーンキープアシストの機能について、「どちらの機能も『自動運転』ではなく、運転の責任はドライバーにあるため、よそ見をしてはいけない」ことを知っている人の割合は、自家用車にこれらの機能を搭載している人では9割近くになるが、トンネルの出口や急カーブでは作動・対応できないことがあるなどの、具体的な機能限界については知っている人の割合は低い。
全車速ACCは、全車速域において一定速で走行する機能および車間距離を制御する機能をもった装置だ。定速走行する場合や追従走行する場合に、運転者の運転負荷を軽減するため、中高車速域では運転者がセットした車速で定速走行する。定速走行中に自車より遅い先行車がいた場合、先行車との車間距離を適切に維持する。低車速域では先行車との車間距離を適切に維持する。先行車が停止した場合には停止し、停止状態を保持する。何らかの理由で先行車に接近しすぎたことや、先行車の急制動などに対応しきれないことを、運転者に注意を喚起する。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、間違ってアクセルを踏み込んだときに急発進や急加速を抑制する。アクセルペダルの誤操作が疑われ、かつ障害物への衝突が予測される場合に、エンジン出力制御やブレーキ制御などによって急発進、急加速を抑制する機能だ。
レーンキープアシストは走行車線の中央付近を維持するよう操作力を制御する。走行車線の中央付近を維持して走行する際の運転負荷を軽減するため、走行車線を認識し、車線維持に必要な運転者の操作力を軽減する。何らかの理由で車線から逸脱しそうになった場合には、運転者が車線中央に戻す操作をするよう警報する。