日産 内田社長「取引先から不満の声がなくなるように努力していく」

日産自動車の内田社長
  • 日産自動車の内田社長
  • 日産自動車の記者会見(5月31日)
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  • 日産自動車グローバル本社

日産自動車は5月31日、パートナーとの取引に関する説明会を開催。下請け企業との取引改善に向けて、2つの新組織を立ち上げ、6月から活動を開始すると発表した。内田誠社長直轄のもので、取引先からの相談に対応する。


◆勧告後も不当な減額要請か

日産は3月に公正取引委員会から下請法の違反で再発防止を求める勧告を受けた。クルマの部品を製造する36社に、発注時に決めた金額から「割戻金」として一部を差し引いた代金を払っていた。そのため、同社はそれらの企業に対し、約30億円を返金することになった。内田社長は公取委の勧告を受け、監督責任として月額報酬の30%を4月から3カ月自主返納をしているそうだ。

ところが、下請法違反の勧告を受けた後も、下請け企業に対して不当な減額要請など不適切な取引が続いていたと、一部のメディアが報道。それを受けて、日産は外部弁護士などによる社内調査を5月11日から行っていた。その間、政財界からは日産に対する批判の声が噴出。日産としては、早く調査結果を明らかにする必要があったわけだ。

◆2015年のフォーマットを使い続ける

そこで31日、外部弁護士などによる社内調査の結果を発表したわけだが、報道にあったような一方的な値下げ行為は確認されなかったとした。どうやら誤解を招く表記があったようだ。「試作事前見積書およびメールに記載していた誤解を招く表記については、直ちにその運用を廃止した」と内田社長。

それは当然だろう。なにしろ2015年につくられたフォーマットで、それを今も利用していたというのだから驚きだ。いくら日産と各サプライヤーが合意したと言っても、この約10年間に経済情勢は大きく変わり、為替にしても大幅な円安になっている。これでは、下請け企業は買いたたかれていると思っても不思議ではないだろう。

◆不満の声がなくなるように

「いずれにしても、取引先からご不満の声が上がっていることは事実である。より厳しい目線で自らを振り返り、日々のやりとりにおいて、当社の至らない部分があった点、改善すべき点を含めて、今後適正な取引が実現できるように取り組みを強化し、こうした不満の声がなくなるようにしていきたい」と内田社長は強調する。


《山田清志》

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