半導体、eVTOL用eモーター、前方広角画像センサーなどモビリティ社会のティア1を目指すデンソーの独自技術…人とくるまのテクノロジー展2024

Siウエハ
  • Siウエハ
  • SiCチップ
  • PHEV用インバーター
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  • PHEV用インバーター
  • PHEV用インバーター
  • eVTOL用ローター&ステーター(eモーター)。モックてはなく実機の展示
  • Software Defined Vehicle

人とくるまのテクノロジー展2024において、立錐の余地もないほど来場者がひっきりなしに訪れていたのが、デンソーのブースだ。

会期の2日前というタイミングで保有するルネサスエレクトロニクスの株を半分売却し、1778億円の特別利益を計上したことを発表した直後でもあった。新たな研究開発投資が予想されるが、じつはデンソーは1968年にIC研究室を開設して以来、汎用でない車載用のパワー半導体や半導体センサなどを内製化してきた古株でもある。今回の展示ではとくに新しい製品というより既存の技術、成熟したポートフォリオやビジョンを展開した。


◆PHEV用インバーターの内部構造を公開

デンソーは従来の「自動車業界のティア1」から「モビリティ社会のティア1」へとシフトすることを目指し、明確に半導体とソフトウェアを基盤技術と位置づけている。とくに前者は、車載用途で培った過酷な条件で正しく動作する信頼性を特徴とし、電池ECUの監視に用いられるようなアナログ半導体と、駆動モジュールなど高電圧用のパワー半導体を軸とする。

ブースの中央には300mm径のシリコンウェーハそしてSiCチップが並べられた。また後者のソフトウェアについては、SDVの概念図を示すにとどまったが、顧客の嗜好や年齢世代のみならず、体温や脈拍といった体調データ、あるいは他車やインフラなど周囲のネットワーク情報をも、要求や課題解決に用いることで、UXに繋げていくという。

SiCチップ

パワー半導体については、それが用いられたインバーターの内部構造そのもの、二枚貝を開いたようなカタチでPHEV用インバーターを上下2分割して展示。現行の市販モデルで「THS II」第5世代の中枢として、すでに多くの改良変更が加えられた仕様を、惜しげもなく披露した。


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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