矢野経済研究所は、車載用リチウムイオン電池(以下LiB)の世界市場を調査し、その結果を公表した。
2023年の車載用LiB世界市場規模は、前年比124.5%の775GWhとなる見込み。これは、電動車(EV、PHEV、HEV)の世界生産台数の増加と連動した結果であり、車載用LiB市場も拡大すると予測されている。特に、EVの市場規模は710GWh(前年比124.4%)と大きく、その他の電動車と比較しても顕著な成長を見せている。
また、電動車の生産台数は、2022年には全体の10%を超え、2023年では15%台が視野に入る見込み。これは、コロナ禍以降も電動車市場が成長を続け、中国に続き欧州、北米へと成長エリアが広がっていることを示している。
電動車を取り巻く世界の動きについても2023年は大きな転換点となった。
欧州では、2021年発表の欧州委員会「Fit for 55」の中で「2035年から内燃機関(ICE)車の新車販売禁止」が打ち出され、2022年には欧州議会が2035年までに乗用車と商用車のCO?排出ゼロとする法案を採択し、加盟国からなる理事会での審議が行われる流れとなっていた。
2023年に入り、欧州議会は2035年以降のエンジン車の新車販売を実質的に禁止する法案を採択したが、ドイツ等が反対を表明し、温暖化ガスの排出ゼロと見なす合成燃料(e-fuel)の利用に限り販売を認める形となった。これにより事実上、2035年からの内燃機関車の新車販売禁止は撤回される形となった。
なお、イギリスでも2023年9月、2030年に設定していた国内でのガソリン車、ディーゼル車の新車販売禁止を2035年に先送りする事が発表されている。