「2023国際ロボット展」で、ヤマハ発動機は各種スカラロボットを出展し、その幅広い活用方法を紹介した。同社のロボティクス事業は、2024年で40周年の節目を迎え、その間にスカラロボットの作業スピードは約3倍に、価格は当時の3分の1ほどになったという。
スカラロボットとは、複数の回転軸とアーム、先端部にZ軸を持つ産業用ロボットのことで、ネジ締めやハンダ付け、搬送、積載、検査工程等の自動化に貢献している。ヤマハ発動機の最新機種「YK-XEC」シリーズは、空気清浄度が極めて高いクリーンルームでの活躍が期待されるモデルで、半導体の製造工場や食品・医療機器・化粧品の製造現場でも活躍が見込まれている。

ヤマハ発動機のロボティクス事業は、1970年代の急激な増産に対応するため、二輪車工場の生産効率化を目指して開発した自社向けのロボットを起源とする。その後、自社の生産現場で性能や品質を磨きながら、現在のスカラロボットの原点となる「CAME YK7000」シリーズを開発し、その外販によって事業の第一歩を踏み出した。
ロボティクス事業の発展には、いくつかの転機や節目があった。1990年頃の磐田第5工場の完成もその一つで、この工場には自社製産業用ロボットがずらりと並び、その先進的な光景は、当時「東洋一の自動化設備」と大きな話題となった。また、2010年頃から始まった中国のものづくりの台頭もポイントの一つで「中国企業の導入から稼働までのスピード感に驚かされ、大きな刺激を受けた」と村上一郎さん(ロボティクス事業部)は振り返る。
国際ロボット展やジャパンモビリティショーのヤマハ発動機ブースでは、AGV(無人搬送車)に搭載した7軸協働ロボットが大きな注目を集めた。