充電会員カードも使用可能な6kW充電器を広く展開するエネチェンジ【特集 EV充電インフラビジネス最前線】

充電会員カードも使える6kW充電器

商業施設に設置する“目的地充電”

マンション向けプランは電気代も負担

EVsmartとのシナジー効果とは

必要な所に根拠をもって設置することの重要性

エネチェンジ EV充電サービス事業部を統括する執行役員の内藤義久氏
  • エネチェンジ EV充電サービス事業部を統括する執行役員の内藤義久氏
  • 駐車場ですぐ見つけられるよう背の高い充電器を提供
  • 普通充電器は3kWのものも多いが、エネチェンジは6kWの充電器となる
  • 普通充電器は3kWのものも多いが、エネチェンジは6kWの充電器となる
  • 宿泊施設やゴルフ場、ショッピングモールなどに様々な導入事例がある。国内の認証アプリ対応の普通充電器において設置口数No.1を獲得している
  • 「チャージ2」は充電会員カードも利用可能
  • 充電器設置に関するサポート体制
  • 補助金とエネチェンジの導入支援金により設置費用と月額費用が賄われる

日本の4割にのぼる集合住宅の世帯にとって、EVの購入はハードルが高い。このような状況の改善を図るため、集合住宅への充電器設置を推進する目的で「クリーンエネルギー自動車・充電インフラ導入促進補助金」が2021年からスタートしている。この補助金を背景に、既設のマンションや商業施設に充電器を設置する事例が増えるとともに、補助金の手続きや充電器設置のコンサルティング、実際の設置作業をおこなう企業が登場、注目を集めている。今回取り上げるエネチェンジもそのような企業のひとつだ。

エネチェンジは2015年に設立後、2020年にマザーズ市場への上場を果たしており、EV充電インフラサービスを提供している企業では唯一の上場企業となっている。事業の柱は前述のEV充電インフラ事業のほか、家庭や法人向けに電力・ガス会社の比較・切替を支援するプラットフォーム事業、まだ電力会社等向けにデータを取り扱うデータ事業の3つ。また、昨年9月にはアユダンテよりEVユーザー向けメディア「EVsmart」の事業譲渡を受けている。

同社EV充電サービス事業部を統括する執行役員の内藤義久氏に、サービスの特徴や現在の事業展開、競合他社との差別化ポイントについて聞いた。

充電会員カードも使える6kW充電器

---:まず最初に、御社のEV充電サービスについてご紹介ください。

内藤氏(以下敬称略):まずは、充電器を探すことができる「EV充電エネチェンジ」というアプリを提供しています。日本中のEV充電器の情報を確認し、充電器を探すことができるというものです。加えて、充電器を設置するというサービスも提供しています。普通充電というと99%は3kWの出力であるのに対し、当社ではその倍となる6kWの充電器を設置しており、設置台数もナンバーワンです。決済方法も充実しています。EVを購入する際には通常、ディーラーなどで充電会員への加入を勧められることが多いのですが、当社の充電器はその会員カードでタッチ決済をすることが可能ですし、QRコードでも決済可能です。

---:会員カードというのは、例えばZESPカードもそうですよね。これは、ZESPの月額の中で充電ができるという認識で合っていますか。

内藤:その通りです。

---:なるほど、それでカードをかざして決済するということですね。

内藤:はい。当社の充電器はe-Mobility Powerの充電ネットワークに対応しているため、充電ネットワークに加盟している企業のカードはすべて使えます。ユーザー視点でのメリットは大きいと考えています。

一方、充電器を設置する側の施設の視点では、現時点ではEVがまだまだ普及していないこともあり、費用をかけて充電器を設置するということは結構ハードルが高いのですが、我々は導入費用0円、月額費用も不要で設置することができるサービスを提供しています。これは国の補助金を使って実現しているものです。また設置工事についても、我々が設置工事や補助金の進行などをすべて対応しますし、設置してからの万が一の故障やトラブルなどがあった場合はアフターサポートセンターで対応しています。

「チャージ2」は充電会員カードも利用可能

商業施設に設置する“目的地充電”

---:商業施設ではどのようなで導入事例が多いのですか。

内藤:導入事例としては、ホテルなどの宿泊施設に設置いただいたり、ゴルフ場やショッピングモール等での設置が進んでいる状況です。充電器のハードウェアはスタンドで一体式のものです。充電器は遠くから目立たないとどこにあるか認識できず駐車場の中で見つけられないということになりかねないので、基本的にこうした背の高いデザインにしており、結果デザイン性も高くなっています。もちろん、国のインフラ補助金にも対応しておりますし、6kWの充電ができる点と会員カードが使える点、この3点が揃っているのは当社製品のみです。

また、ここが特徴なのですが、充電コードが上からの吊り下げで、なおかつ巻き取り式になっているという点です。充電器によっては、コードを引きずって繋ぐ必要があるものもありますが、吊り下げ式だと、雨の日などでコードを引きずって汚れることもなく、また接続も軽くできるので力が弱い方でも扱いやすい。実際、ユーザーの方からこの点がとても良いという評価の声を多くいただいています。

宿泊施設やゴルフ場、ショッピングモールなどに様々な導入事例がある。国内の認証アプリ対応の普通充電器において設置口数No.1を獲得している

---:料金プランにはどのようなものがあるのですか。

内藤:基本的に初期費用や月額費用は負担ゼロでご提供しています。まず工事費用は補助金が最大で135万円出ます。加えてEV充電器本体に対しては補助金が半分出るので、本体価格47.4万円の半分、約24万円として、135万円+24万円=約160万円が国の補助金となります。充電器本体の半分と消費税を加えて約40万円の負担が発生しますが、この部分は当社が負担しますので、お客様には負担いただくことはありません。

補助金とエネチェンジの導入支援金により設置費用と月額費用が賄われる

---:御社が負担する分を回収するために、設置場所を厳選しているということでしょうか。

内藤:そうですね。充電を利用いただける場所に設置しないと、我々のビジネスが立ち行かなくなるだけでなく、補助金の無駄遣いにも繋がってしまうので、我々もかなりシビアに充電器が使われるであろう場所を厳選して設置しておりますし、設置のお問い合わせをいただいてもお断りする場合があります。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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