96年ぶりに日の目を見た、史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』…オートモビルカウンシル2023

史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』(オートモビルカウンシル2023)
  • 史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』(オートモビルカウンシル2023)
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史上初の前輪駆動(FWD)グランプリカー、『1927アルヴィス』が「オートモビルカウンシル2023」で公開された。何と、このクルマが公の場に姿を現すのは実に96年ぶりのことで、その公開の場として日本のオートモビルカウンシルが選ばれたのは誠に光栄なことである。

アルヴィスは、1919~67年に活動したイギリスの名門メーカーだ。2010年に活動を再開し、現在も、当時の車をほぼ当時のままに生産している。1925年にメーカーとして初めてFWD車でレースに参戦した歴史をもつ。

史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』(オートモビルカウンシル2023)史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』(オートモビルカウンシル2023)

そもそも今でこそ当たり前のFWD方式は、ジョイント技術が未発達だったことからなかなか具体化しない構造だった。初期のレースでFWDが使われた例としては1925年のミラーレーサーがあるが、実はアルヴィスはこの時すでにFWDのレースカーを開発し、ヒルクライムレースにデビューさせている。

それに続いて登場したのが直列8気筒にスーパーチャージャーを装備したグランプリカーであった。1926年には完成され、ブルックランズのレースに出場するのだが、結果は芳しくなく、そこでアルヴィスではエンジンの設計変更が行われ、新たに半球燃焼室とダブルオーバーヘッドのカムシャフトが与えられる。元来このクルマは1927年のイギリスグランプリに出場するはずであったが、残念なことにそこでデビューすることはなかった。

史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』(オートモビルカウンシル2023)史上初の前輪駆動グランプリカー『1927アルヴィス』(オートモビルカウンシル2023)

そこで、出場の場を同年のブルックランズ200マイルレースに定め、2台のマシンをエントリーする。予選ではフロントロウを独占したものの、残念ながら完走はならなかった。しかし、トップスピード120マイルを超える速さと素晴らしいペースを見せつけたという。

今回展示された#2のマシンはブルックランズにおいてジョージ・ダラーがドライブし予選2位を得たマシンそのもの。唯一現存するFWDグランプリカーである。残念ながら現状ではカムシャフトやドライブシャフトなどが搭載されておらず、まだレストレーション半ばだが、完全なローリングシャシーが一般公開さえるのはこれが初めてで、イギリスのネット上でもオートモビルカウンシルで展示されるというニュースは大きく報じられている。

因みにアルヴィスではこのクルマを、年内にエンジンを完成させ、最終的には2027年のアルヴィス・グランプリカー、デビュー100周年を目指してブルックランズに再びその雄姿を見せることを目指している。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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