アンシスのプライベートカンファレンス「Ansys Simulation World 2022 Japan」において、素材・部品情報データベースをどのように扱っているのかを議論するパネルディスカッションが開催された。
パネルに参加したのは、ホンダ、IHI、マツダの3社。3社ともAnsysのGrante MI Enterpriseのユーザーだ。
シミュレーションループに必要な性格な部品データ
シミュレーターを使ったモデル開発において、バーチャル環境をより正確なものにするには、物理現象や自然現象を再現するモデルの精度が重要だ。同時にサスペンションやパワートレインなどコンポーネントのモデルの正確さも欠かせない。正確なコンポーネントモデルのためには、材料の物質としての特性、部品のスペックデータがなければならない。それも精度の高いものが必要だ。
環境モデルと開発対象の正確なパラメータがないと、シミュレーションシステムのループが成立しないからだ。部品情報データベースは、素材や部品の根幹をなす情報を一元管理する。このデータが、モデル開発において、リアルとバーチャルをつなぐ媒介の役目を果たし、開発の精度や効率を高めてくれる。
自動車OEMは、部品情報データベースをどのように車両開発に活かしているのだろうか。パネルディスカッションでは、参加企業各社が事例を示しながら情報交換行った。本記事では、このうちホンダとマツダの取り組みについて紹介する。
ホンダの場合:世界中の拠点で同じ基準ができる
材料情報・部品情報は各部がばらばらに作成、管理されることが少なくない。データは散在し、重複、あるいは不整合などの問題が起きやすい。ホンダもその例外ではなく、モデル開発が広がるにつれ部品・材料データのデータベース化(統合管理)を検討したという。管理がばらばらだったので、情報共有ややりとりも効率よく行われない事態が続いた。部品情報データベースを導入したのは2016年のことだ。