「山高ければ谷深し」。相場の格言には、高騰が激しければ、その反動で暴落も激しいという教訓話があるが、まさに、その教訓を地で行くようなソフトバンクグループ(SBG)の決算である。
お盆休み前の2022年第1四半期の決算発表もピークを迎えているが、SBGが発表した22年4~6月期の連結決算(国際会計基準)によると、連結最終損益が、前年同期の7615億円の黒字から一転、3兆1627億円の赤字となった。四半期の赤字額として過去最大となり、最終赤字は22年1~3月期に続き2四半期連続。また、日本の上場企業の四半期ベースの最終赤字としては過去最悪という。
ロシアのウクライナ侵略や、物価高を受けた各国・地域の中央銀行による利上げの影響で、世界的なハイテク株の下落を受けて、人工知能(AI)を活用する新興企業など、有力な投資先企業の株価が軒並み下落し、傘下のビジョン・ファンド(SVF)の運用成績が急激に悪化したのが大きな要因とみられる。一方で、子会社の携帯電話大手のソフトバンクや、ヤフーとLINEを傘下に持つZホールディングスなどの業績は堅調だったという。
きょうの各紙にも「ソフトバンクG、赤字3.1兆円、株価低迷、過去最悪」などの見出しで、毎日、日経が1面準トップで報じたほか、各紙も経済面などで「SBG新規投資を抑制、円安・為替差損8200億円」(読売)などと大きく取れ上げている。
それによると、これまでの赤字の最大はSBGが22年1~3月期に計上した2兆1006億円で、20年1~3月期の1兆4382億円がそれに次ぐ規模。4番目に赤字が大きかったのは11年1~3月期の東京電力ホールディングスで東日本大震災に伴う福島第1原発事故の処理などで1兆3872億円の赤字を計上。自動車業界では、世界的な自動車不況に円高の影響が重なった09年1~3月期のトヨタ自動車が7658億円、コロナ感染拡大に伴う需要減が響いた20年1~3月期の日産自動車が7105億円の巨額赤字をそれぞれ記録している。
孫正義会長兼社長は記者会見で「厳選してちゃんとした投資を行っていれば、これほどの損失はなかった。私の指揮官としての責任。創業以来最大の赤字を出したことを真摯に反省したい」と述べ、当面は新規投資を徹底的に抑制し、守りを固める姿勢を強調。さらに、孫氏は傘下のSVFについて「大幅に人員を減らさざるを得ない」として、SBGが人員削減に踏み切るのは異例だとも伝えている。
2022年8月9日付
●内閣支持下落57%、旧統一教会「説明不十分」87%、本社世論調査(読売・1面)
●ソフトバンクG赤字3.1兆円、4~6月期、株価低迷、過去最悪(読売・2rr面)
●内閣改造、鈴木・斉藤も留任へ、岡田氏、初入閣有力(毎日・1面)

●お盆休み行動制限せず、経済重視首相、乗り切る構え(産経・2面)
●日野不正納入先に波及、バス・建機相次ぎ出荷停止、いすゞ、コベルコなどリコールも(産経・5面)

●国葬費「国会チェックを」予備費支出に批判「災害とは違う」安倍元首相銃撃1か月(東京・1面)
●企業、7四半期ぶり減益、世界の4~6月、中国封鎖響く(日経・1面)
●東工大・医歯大、統合協議へ、10兆円ファンドの支援対象「卓越大学」指定めざす(日経・2面)
●都内タクシー、初乗り500円、14%値上げ、加算100円刻み(日経・5面)