【スズキ アルト 新型試乗】アルトの歴史は、日本車の進化の歴史だ…渡辺陽一郎

従来の不満を解消して進化

軽自動車最良、27.7km/リットルの低燃費

「1979年の47万円」を保ちながら進化してきた

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『ジムニー』のような悪路向けのSUVを含めて、軽自動車にはさまざまな車種がある。そのために、今は国内で新車として売られるクルマの約38%を軽自動車が占める。この中で「低燃費&低価格」という、軽自動車の本質を追求した車種が『アルト』だ。

従来の不満を解消して進化

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従来のアルトは、乗り心地や居住性に不満を感じることもあったが、現行型はさまざまな機能を向上させた。

まず内装の質が高まった。インパネを見ると、低価格車ながらも助手席の前側にボリューム感を持たせ、立体的に仕上げた。ファブリックのシート表皮も価格の割に上質だ。

居住性も快適。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ半に達する。前後方向の余裕は、『ハリアー』や『CR-V』といったミドルサイズSUVと同程度だ。後席は座面の奥行寸法が短めで座り心地もいま一歩だが、足元空間は広いから、長距離でなければ大人4名の乗車に対応できる。

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軽自動車最良、27.7km/リットルの低燃費

動力性能にも余裕を持たせた。2WDの車両重量は680~710kgと軽いから、ターボを装着しなくてもパワー不足を感じにくい。ノイズは少し大きいが、平坦路では気にならない。スタビライザー(ボディの傾き方を制御する足まわりのパーツ)は装着されていないが、ボディが軽いこともあり、走行安定性にも不満はない。

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乗り心地も向上した。先代型は13インチタイヤ装着車が中心で、燃費向上のために指定空気圧が280kPaと高かった。現行型は『ワゴンRスマイル』と同じ14インチタイヤを装着して、指定空気圧も240kPaまで下げたから、走りと乗り心地が向上した。

しかも2WDのWLTCモード燃費は、ノーマルエンジンが25.2km/リットル、マイルドハイブリッドは、軽自動車で最良の27.7km/リットルだ。

「1979年の47万円」を保ちながら進化してきた

価格は売れ筋の「L」グレードが99万8800円。最も安価な「A」グレードは、衝突被害軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグを標準装着して94万3800円だ。

ちなみに1979年に登場した初代アルトの価格は47万円であった。初代アルトは、左側の鍵穴まで省くなど、コスト低減を徹底させた。この時代の47万円を今の価値に換算すると、約94万円だから、現行アルトAと同等になる。

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つまり給与や物価を補正すると、アルトの初代と現行型は同程度の価格で売られているわけだ。それなのに装備内容は大幅に進化している。歴代アルトのベーシックグレードは、常に「1979年の47万円」を保ちながら、機能や装備を着実に充実させてきた。その歴史は、日本車全体の進化を反映させている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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