ホンダ 三部社長「ソフトウェアでクルマの価値をあげていくことが必要」

ホンダの三部敏宏社長
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  • ホンダのEV戦略
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  • 左から青山真二執行役専務、三部敏宏社長、武内弘平副社長

ホンダは4月12日、四輪電動ビジネスに関する説明会を開催し、今後10年間で研究開発費として約8兆円、うち電動化やソフトウェア領域に約5兆円投資するとともに、電気自動車(EV)をグローバルで30機種投入すると発表した。

「われわれはハードの価値でビジネスをしてきた会社で、今後もハードの性能を上げていくことは当然続けてやっていくが、これからは機能やサービスなどソフトウェアでクルマの価値を上げていくことが必要になってくる」と三部敏宏社長は強調し、こう続けた。

「具体的に言うと、電子プラットフォームを用いて常に進化した機能や価値を提供する。買った時点よりもさらにクルマが進化するということで、お客さまから対価をいただくビジネス、いわゆるリカーリングビジネスを強力に進めたいと考えている。ソフトウェアによってお客さま自身がそれぞれカスタマイズ化できるような新しい価値を提供できるようにビジネスを広げていきたい」

電動モビリティや製品を“端末”と位置づけ、各製品に蓄えられたエネルギーと情報をユーザーや社会とつなげていくことで、新しい価値を提供していく「複合ソリューションビジネス」を展開していこうというわけだ。

そのために、外部からの採用強化も含め開発能力の大幅な強化を図っていくそうだ。ソニーと設立する新しい会社で生まれるソフトウェアも活用していく。ソニーは日本企業の中ではリカーリングビジネスが進んでいる会社で大きな収益を上げており、ホンダにとっては参考になることが多いだろう。

将来有望な先端技術やビジネスモデルをもつスタートアップ企業などに対しても、年間100億円規模での出資を行い、技術と事業の幅を広げ、魅力的な製品・サービスの提供を行っていくという。イメージとしては、スマートフォンのビジネスのようにさまざまなアプリケーションサービスなど盛り込んで、クルマの価値を高めようというわけだ。

組織についても、電動事業強化を目指して変更した。従来の二輪、四輪、パワープロダクツの製品別に分かれた組織から、「電動商品とサービス、バッテリー、エネルギー、モバイルパワーパック、水素」、そしてそれらをつなげる「ソフトウェア・コネクテッド領域」を取り出して1つに束ねた新組織「事業開発本部」を設立した。

「2030年断面で言うと、全体の四輪ビジネスがハードとソフトウェアからなり、今は何10%になるとは言えないが、ソフトウェアのビジネスがある程度の割合を占めていることになっているだろう」と三部社長は話す。複合ソリューションビジネスがうまく軌道に乗れば、低収益だったホンダの四輪ビジネスは大幅に改善するに違いない。

《山田清志》

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