スーパー耐久公式テスト…カーボンニュートラルと人材育成に意欲

ORC ROOKIE GR86 CNF Concept
  • ORC ROOKIE GR86 CNF Concept
  • Team SDA Engineering BRZ CNF Concept
  • ORC ROOKIE Corolla H2 Conceptの水素カローラ
  • MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept
  • ORC ROOKIE GR86 CNF Concept
  • Team SDA Engineering BRZ CNF Concept
  • ORC ROOKIE Corolla H2 Conceptの水素カローラ
  • Honda R&D Challenge FK8

スーパー耐久2022年シーズンの公式テストが23日、富士スピードウェイで行われた。自動車メーカーであるトヨタ・スバル・マツダがメーカーとして参戦、ホンダも有志チームで参戦し、どのチームも目指すところはカーボンニュートラルと人材育成が大きなテーマになっている。

2022年のスーパー耐久にはシーズンを通して61台が参戦予定をしている。その中にはトヨタ自動車の社長でもある、豊田章男氏がオーナーを努めるROOKIE RACING、量産車を作る研究開発チームが中心として参戦するスバル、マツダのチューニングショップであるNOPROとジョイントして、研究開発メンバーを中心としたマツダと注目を集めるチームが多く参戦する。

ROOKIE RACINGは昨年注目を浴びた、ORC ROOKIE Corolla H2 Conceptの水素カローラを継続して参戦させるほかに、スバルと協業と競争を行うGR86をベースにし、水平対抗エンジンから3気筒ターボエンジンに変更し、カーボンニュートラル燃料を使用して参戦するORC ROOKIE GR86 CNF Conceptを走らせる。

水素カローラは昨年、完走はもちろんラップタイムのアップ、給水素のタイムアップと参戦するごとに課題をクリアしている。今シーズンはさらなるタイムアップを目指しながら、燃費の向上などが目標になる。公式テスト内でも目立ったトラブルもなく順調に周回をこなし、さらなる進化に向けて順調にスタートを切った。

一方で新規参戦となる3気筒ターボエンジンを積んだGR86は、もともと水平対抗エンジン用に設計されたボディに3気筒エンジンを搭載するという難題をクリアし、さらにカーボンニュートラル燃料を使用するという課題に取り組んでいる。シェイクダウンしたばかりとあり初期トラブルも発生したが、そのトラブルも進化のための課題としてこなしている。

トヨタと協業と競争を行うスバルは、量産車のBRZをレース仕様にモディファイして、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptとして参戦する。マシンは出来上がったばかりでこの公式テストで走り込みを行い、マシンとしての方向性などを見極めていた。

ドライバーはスーパーGTで昨年チャンピオンを獲った井口卓人と山内英輝を起用し、そこに社員ドライバーが搭乗し、まさに研究開発を行いながらの参戦となる。さらにスバルもカーボンニュートラル燃料を使用しての参戦することになっており、その燃料のマッチングなどもさぐりながらのテストとなった。

マツダはMAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptとしてバイオ燃料であるユーグレナを使用して、MAZDA2で参戦する。こちらもマツダの研究開発チームがメインではあるが、マツダ車のチューニングショップのNOPRO(野上プロジェクト)とジョイントして参戦する。

メーカーとしての研究開発と分析、チューニングショップとして長年培ったチューニングの知見とレース参戦のノウハウを、相乗効果として活用しながらの参戦となる。

それぞれ自動車メーカーとして開発部隊が参加しており、レースが研究開発と実験実証の場として有効と感じての参戦とのことだ。

一方で少し違うアプローチしているのはホンダだ。Honda R&D Challenge FK8として長年スーパー耐久にシビック タイプRを使いスポット参戦していた。昨年は年間4戦参戦し、今年は全戦参戦する予定だ。このチームは自己啓発を目標とした有志のチームとなっており、メーカーとしては参戦していない。しかし研究開発のメンバーやシビックタイプRの開発担当者が参戦するなど、自己啓発だけでなく研究開発の側面も持っている。

そしてどのチームも共通して発信しているのが、研究開発、車両実験などをレースの場で行い、ベテランだけでなく若手エンジニアを率先して現場に起用し、次世代を担うエンジニアを育成するということだ。

様々な事象が発生するレース現場では、トラブルが発生しても次のレースまでには解決しなくてはいけない。参加メンバーの一人一人が自分の領域だけでなく、車両全体をみることのできるエンジニアを育成していくことを目標に掲げる。

多くのマシンや多くのメーカーが参戦する2022年のスーパー耐久に注目したい。

《雪岡直樹》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集