JR九州は2月22日、西九州新幹線武雄温泉~長崎間の開業日を9月23日に決定したと発表した。
西九州新幹線は福岡市と長崎市を結ぶ整備新幹線(九州新幹線西九州ルート)として1973年に計画路線とされ、2008年に武雄温泉~諫早間が着工した。
当初は、博多~武雄温泉間は在来線を走行し、武雄温泉~長崎間は新幹線鉄道規格新線(スーパー特急方式)を走行するとしていたが、2012年には政府・与党が武雄温泉~長崎間を通常の新幹線規格(フル規格)で整備する方針に転換し、諫早~長崎間も着工。在来線狭軌の博多~武雄温泉間と新幹線標準軌の武雄温泉~長崎間を軌間可変電車(フリーゲージトレイン)で直通する方針が示された。

これを視野に入れたフリーゲージトレインの試験は2014年から開始されが、車軸と軸受けの接続部に摩耗痕が見つかるなどのトラブルが発生。技術的な問題をクリアすることが困難になったとして、2016年には武雄温泉~長崎間を先行開業し、当面の間は武雄温泉駅(佐賀県武雄市)で新幹線と在来線との対面乗換えを行なうことが取り決められ、翌年にはフリーゲージトレインの開発断念が表明された。
これにより、新鳥栖~武雄温泉間もフル規格で整備する要望が政府・与党より出されたことから、在来線を活かす当初の取り決めを反故にされたとして佐賀県が反発。現在に至るまで整備方式をめぐり国との「幅広い協議」が進められている。あくまで在来線での整備を主張する佐賀県は最高200km/hでのフリーゲージトレイン開発を検証する案を出していたが、2月10日に開かれた協議では国が難色を示している。

こうした経緯を経て武雄温泉~長崎間が先行開業する西九州新幹線には、JR東海のN700Sを6両編成に短縮した『かもめ』4本を導入。開業後は博多~長崎間が対面乗換えで、現行より30分程度短縮した最速約1時間20分で結ばれ、博多~武雄温泉間には新幹線連絡列車の『リレーかもめ』が運行される。

先行開業区間には途中、嬉野温泉駅(佐賀県嬉野市)、新大村駅(長崎県大村市)、諫早駅(長崎県諫早市)が設置され、嬉野温泉駅のみ新幹線単独駅となる。また、車両基地として長崎県大村市内に大村車両基地が、同基地に隣接する在来線の大村線に大村車両基地駅が設置される。

構造物は、橋梁が168か所(総延長約7.1km)、トンネルが31か所(総延長41km)、高架橋が延べ13.6kmあり、全体の6割程度がトンネル区間となる。

なお、西九州新幹線の開業により、並行在来線の長崎本線肥前山口~諫早間はJR九州から経営分離され、施設は佐賀県と長崎県からなる「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」が保有するが、開業から23年間はJR九州が運行を担う上下分離方式で運行されることになっている。また、肥前山口駅(佐賀県江北町)は町名の「江北」に改称される。
