パナソニック、賃貸住宅向けに家電のサブスクサービス開始…年間50億円の営業利益を目指す

パナソニックの家電が備わったノイフルベース駒込の部屋
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  • パナソニック くらしアプライアンス社の松下理一社長

パナソニックは1月19日、社内カンパニーのくらしアプライアンス社に関する記者会見を開催。賃貸住宅向けの家電サブスクリプションサービス「noiful(ノイフル)」を開始すると発表した。

昨今、国内の不動産市場において、人口減少などによりストック住宅が増加傾向にあり、建物の老朽化や空き家・空室の増加などが大きな社会問題となっている。一方、消費者の動向に目を向けると、所有するのではなく、必要なときに必要なモノを借りればよいという価値観が浸透するなどライフスタイのの多様化が進むとともに、在宅時間の増加に伴う「イエナカ」への意識の高まりから、より充実した住まい環境へのニーズが高まっているという。

「これらのことを事業機会と捉え、今回、新しいサービスの立ち上げに挑戦したいと考えた。ノイフルとは“Not Owning is fulfilling(持たざることは満たされること)”の頭文字を取ったもので、賃貸住宅に3つを提供することが柱になっている」とくらしアプライアンス社の松下理一社長は説明する。

その3つとは、まずパナソニックの先進家電を備え付けていくこと。2つ目がリノベーションにより家電と空間が調和した機能性、デザイン性に優れた住環境を提供すること。3つ目がこれら2つの点についてパナソニックとして高品質を担保して安心安全なサポートを提供していくことだ。

パナソニックはモノを売るだけでなく、その後のサービスを含めたリカーリングビジネスの育成に力を入れており、今回の新事業もその一環と言っていい。なにしろ、ライバルのソニーはゲームのリカーリングビジネスで大きな収益を上げており、パナソニックも家電でそれを真似しようというわけだ。

賃貸業者の要望に合わせて、必要な家電を月額制のレンタルで提供する。また、入居者向けに家電の使い方のサポートや、故障時の修理・交換にも無料対応するサービスもつける。すでに東京建物や東急不動産などと提携しており、今後のサービス拡大に向けて他社パートナーとのさらなる提携を加速していく計画だ。

パナソニックでは、2024年度末に累計1万2000戸への納入を目指すとともに、年間50億円の営業利益を生む事業に育てていく。また、家電関連サービス事業全体では24年度に100億円の営業利益を目指している。

また、パナソニックは同日、一棟を買い取った中古物件を改装した賃貸マンション「ノイフルベース駒込」(東京都北区)を公開した。築24年の3階建てをリノベーションしたもので、2~3階の住居スペースは、各戸の間取りや空間デザイン、施行まですべてパナソニックと関連会社が実施。先進家電を調和させたこだわりのくらし空間になっている。同日から入居者の募集を開始した。

《山田清志》

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