京都府のトロッコ嵯峨駅(京都市右京区)とトロッコ亀岡駅(亀岡市)の間7.3kmを結ぶ嵯峨野観光線を運営する嵯峨野観光鉄道は1月19日、国土交通省近畿運輸局に対して旅客運賃の上限変更認可申請を行なったと発表した。4月1日の改定を予定している。
同鉄道は1989年3月に山陰本線嵯峨~馬堀間が新ルートにより複線化された際に残された保津川沿いの旧線を活用して、1991年4月に開業した。
JR西日本の完全子会社であり、通勤通学客がない観光を目的とした鉄道として一貫してトロッコ列車のみを運行し、2013年度には輸送人員が100万人を突破した。その後もインバウンド需要に支えられ2019年度まで右肩上がりで旅客が増えていったが、2020年度はコロナ禍の影響によりピーク時の36%となる46万人にまで落ち込んだ。
嵯峨野観光鉄道では2021年度の収支について、2020年度より営業収益が若干向上するも、営業費用が増え赤字額が拡大すると見込んでおり、「品質の高いサービス向上を継続して実施していくためには、現行の運賃では、抜本的な収支状況の改善を図ることが困難な状況にあります」として、運賃値上げに踏み切ることになった。改定額は現行より250円アップした880円としている。
改定後は減便などを含む経費削減やサービス改善の一方で、枕木のコンクリート化や落石防止対策、予約システムの改善、多言語案内システムの構築などに取り組むとしており、2024年度はコロナ禍前の2019年度に近い100万人台の輸送人員を見込んでいる。
