JR四国、黒字基調に…株式の評価益決済などで 2021年度第2四半期収支

130年以上の歴史を誇るJR四国の多度津工場。省力化や省人化を図るべく設備改善が進められており、2Qではその費用として国から560億円の出資金を受け入れを完了している。
  • 130年以上の歴史を誇るJR四国の多度津工場。省力化や省人化を図るべく設備改善が進められており、2Qではその費用として国から560億円の出資金を受け入れを完了している。
  • 12月が最後の運行となる初代の『伊予灘ものがたり』。JR四国では観光列車やトロッコ列車の運行を積極的に行なっているものの、コロナ禍や天災などで、2Qでは目標の乗車人員1万3200人に対して8784人と奮わなかった。
  • JR四国の2021年度2Q単体(7~9月)収支。
  • JR四国の2021年度グループ2Q連結(4~9月)収支。

JR四国は11月15日、2021年度第2四半期(2Q)の収支状況を明らかにした。

7~9月が対象となる2Q単体では、2020年度同期と比較して鉄道運輸収入を含む営業収益が4%程度の伸びに留まっているが、営業費用は経費節減や賞与減額などにより3億円減少。本業の利益を示す営業利益は106億円の赤字となったが、その額は9億円減少している。

一方、営業外損益では、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)へ貸し付けて利息を受け取る、国からの「経営安定基金の下支え」を行なう際の貸付資金を確保するために行なわれた、保有株式の評価益決済を前倒ししたことにより42億円の大幅増となり、経常利益は9億円の黒字に転じた(2020年度2Qは42億円の赤字)。ただしJR四国ではこれをあくまで「一過性の要因」としている。

このほか国からは、多度津工場(香川県多度津町)のロボット化などを含む省力化・省人化に対する支援、鉄道・運輸機構からの借入金を株式化する「債務の株式化」も行なわれており、その結果、特別損益などを加味した純利益も12億円の黒字に転じている(2020年度2Qは37億円の赤字)。4~9月の2Q連結でも営業収益は2020年度同期比で向上しており、グループ全体では純利益が7億円の黒字に転じた(2020年度2Qは53億円の赤字)。

とはいえ、JR四国では長引くコロナ禍により運輸業やホテル業、物品販売業で厳しい状況が続き、2020年度に次ぐ過去2番目に低い営業収益、営業損益になったとしており、JR北海道と同様、営業外損益が黒字を生み出す状況となっている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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