


活動は、「日本国内にあるシトロエンSMをより良い状態で動態保存すること」と粉生会長。「現在推測では80台から90台が日本国内に現存しており、そのうち65台くらいがクラブ会員が所有。パーツ供給やメンテナンスなどの情報交換や、ヨーロッパのオーナーズクラブとの交流により、最新のSM事情やメンテナンス事情を入手して会員と共有するという、相互関係、互助関係を一番大事にしている」とのことだった。
SMの魅力について粉生会長は、「たくさんあるが、皆さん共通してるのはデザインだ」という。また、「シトロエンのハイドロニューマチックとマセラティのV型6気筒エンジンの組み合わせという“ちぐはぐさ”。こういった普通ではあり得ないようなことが実現しているのも魅力のひとつ」と語る。

「SMを扱うディーラーはそれまで『2CV』や『AMI』、『DS』などで、SMが想定するユーザーや彼らが所有するフェラーリやポルシェなどを下取るほどの資金力やノウハウがなかったのではないか」。そうすると当時のフラッグシップであるDSユーザーをターゲットにせざるを得ないが、「SMのデザインが非常に美しいことは、疑う余地はないが、2ドアであることが障害となり、売りにくいクルマだったと思う」と分析。
そのうえで、「1960年代から1970年代の初め頃は、フランスが戦後復興して経済成長していた時代。いわゆる栄光の30年(1945年から1975年)と呼ばれた時代の終わり頃にパッと艶やかに登場したのがSM。しかし、前述のような事情によって短期間で終わったという、フランスの、あるいはヨーロッパの栄光の30年の、最後に咲いた“徒花”だという悲哀、憐憫の情を感じさせずにはいられない。そういう存在だから私のSMに対する愛着はより一層強くなる」と周りにあるSMたちを優しいまなざしで眺めながら語ってくれた。
