ガソリンスタンド約8割が減収、コロナ禍による外出自粛や電動化加速が影響

ガソリンスタンド2867社の業績
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東京商工リサーチはガソリン販売業者2867社の業績動向調査を実施。コロナ禍での外出自粛などで約8割が減収となっていることが明らかになった。

ガソリン販売業者2867社の最新期の売上高合計は5兆3368億円(前期比13.2%減)で、2年連続の減収となった。減収率は前期の2.1%減より11.1ポイント拡大。コロナ禍での外出自粛によりガソリン需要が落ち込み、売上減少に拍車を掛けた。最新期の売上高が減収となったのは2261社(同78.8%)と、約8割に達した。

一方、最新期の当期純利益は780億円(同23.8%増)で2年連続の増益となった。2867社のうち、増益は1436社(構成比50.0%)。セルフ給油所の増加による固定費の削減や仕入価格も落ち着き、利益率が上昇したようだ。最新期の損益は黒字が2560社(構成比89.2%)で、前年の87.2%より2.0ポイント上昇。一方、赤字は307社(同10.7%)だった。

ガソリンスタンドの2021年度上半期(4-9月)の倒産は10件(前年同期18件)で、年度上半期では2年ぶりに減少した。しかし、2020年のガソリンスタンドを含む燃料小売業の休廃業・解散は273件(前年237件)と増加している。ガソリン販売業者は、業歴30年以上の老舗企業が約9割(構成比87.4%)を占め、一方で10年未満は7社(同0.2%)と、新規参入や新陳代謝がほとんどないことを示している。

また、過疎が進む地域では、採算悪化や人手、後継者不足などでガソリンスタンドの閉鎖が深刻化している。こうした地域では、交通インフラが未発達で生活の上で自動車は欠かせない。さらに、災害時の燃料供給の拠点ともなるガソリンスタンドの果たす役割は一層増している。資源エネルギー庁によると、ガソリンスタンド(サービスステーション)数が3か所以下の地域である「SS過疎地」は、2021年3月31日時点で1718市町村のうち343市町村と、約2割(構成比19.9%)にのぼる。ガソリンスタンドは、コロナ禍での業績悪化や先行きの見通し難から、廃業がさらに増えることが懸念されている。だが、地域の重要な社会インフラとしての側面もあり、ガソリンスタンドへの地域に根ざした支援も必要だろう。
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《纐纈敏也@DAYS》

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