プロ・アマ用、海外・国産…群雄割拠の高級コーティングの世界

巣ごもり需要の拡大を後押しに、手洗い洗車を中心に盛り上がる自動車の外装ケア。専門店などのプロ用コーティング製品においても、エンドユーザー向け商品の拡大や、より専門特化した商品展開など、比較的高単価なサービスを中心に新たな取り組みが進んでいる。

◆新ショールーム続々と開設 高級ディテイリングブランド

国内はもとより世界90カ国以上のプロ、一般ユーザーに支持されているカーケアブランド「GEON(ジーオン)」は7月、新たに国内での拠点となる「ジーオン・ディテイリング・スタジオ」を滋賀県愛知郡に開設した。製品ショールームのほか、プロ向けの技術講習施設も兼ねている。

ジーオンの特徴の1つが、プロ・一般ユーザー両方に向けた豊富な製品ラインナップ。プロ向けコーティング剤から、施工後のメンテナンスとして一般ユーザーが手軽に使える簡易コート剤、各種クリーナーやアクセサリー類まで、ボディ内外装の美観を維持する幅広いアイテムを1ブランドで取り揃える。同社西川代表によると、欧州では専門店でディテイリングサービスを受けた後、ユーザー自身が定期的な手入れをする習慣があり、プロ用・一般ユーザー用両方の高品質な製品ラインナップが高く支持されているそうだ。
国内でも、カー用品店や新車ディーラーなどの店頭でも広く販売されており、ここ数年で認知度は急上昇。特にコロナ禍で洗車需要が高まったここ1年は、洗車用品にこだわる層などを中心に製品販売も大きく伸びているという。


新たなスタジオでは、プロ・アマ問わず同ブランドの多彩な製品ラインナップを一堂に見られるほか、全国のディテイリングショップや整備・カスタムショップなどへの技術講習もすでに実施されている。今後、プロのサービスとしてジーオンを提供する専門店が国内でもさらに増えていきそうだ。

また、海外ブランドに限らず、国産ブランドでも高級コーティングが躍進している。

海外のディテイリングショップ250店舗以上と、国内よりも海外で高い実績を持つ「KAMIKAZE COLLECTION(カミカゼコレクション)」を展開するKCインターナショナルは7月、自社店舗を横浜市旭区に移転。施工店、製品ショールーム、プロ向け講習所を兼ねた本店としてリニューアルオープンした。


2014年に発足した同ブランドは、スーパーカーやクラシックカーを主対象とした、極めて高価格帯のディテイリングサービスを提供するプロショップにコーティング剤などを販売。独自に築いた施工ノウハウを元に認定店だけが扱える制度を構築(現在国内では6店舗)しており、長時間をかけて細部に至るまで丁寧に綺麗にするサービス品質は、認定店によってはコーティングのみで1台40万円以上といった価格設定で提供されている。

そして、同ブランドの旗艦店となる新店舗にも、森田代表のこだわりが注ぎ込まれている。特に設備面では、作業内容や入庫車両の塗装色に応じて切り替えられる照明や、下回り・足回りの美装作業に欠かせないという埋込式車両リフト、水捌けに優れるジョイント式マット、天井吊り下げ式のホース、電気コードなどを備え、作業品質を一層追求できる環境を構築。森田代表は、「ディテイリング作業において、クルマの構造や作業環境によって手が届かないところや見落としも出てくる。ただ、お客様の期待を超えた満足を提供するためにも、“キレイにできる箇所”を1つでも増やしたい」と、サービス品質への熱意を語る。



また、同社では2020年、新たにエンドユーザー向けのオンライン販売を開始。森田代表自信が研究開発を手がけるトップコートやクリーナーを中心に、SNSやブログなどを通じ、情報感度の高いクルマ好きの間でわずか1年で急速に人気が上昇。
洗車用品としては高額な1万円を超える注文も少なくないそうで、欧米のカーケアブランドではプロ・一般ユーザー両方に製品展開するスタイルも少なくない中、同社でも両ユーザーに向けてこだわりの“日本品質”を発信している。

新たなプロ用製品も日本上陸

カーユーザー自身が使うカーケア製品に比べ、一定の設備環境や施工技術を前提とする施工難度と引き替えに高機能なプロ用製品も、多様化するニーズに合わせて新たな製品が広がりつつある。

今年、英国の高級コーティングブランド「G-TECHNIQ(ジーテクニック)」が日本でも販売を開始。製品性能と施工性を両立したプロ用コーティング剤として、欧州・北米を中心に世界で豊富な実績を持つ同ブランド。国内では、夏に映画『ワイルドスピード』シリーズ最新作とのコラボキャンペーンも実施し、ブランド認知の拡大、専門店に向けた普及が加速している。


ジーテクニックは2001年に英国で量子物理学者が設立。ディテイリングショップのほか、ポルシェやメルセデスベンツ、フェラーリやランボルギーニ、ロールスロイス、アストンマーティンといった数多の高級車ディーラーにも供給し、全世界43カ国に展開。英国ではハイエンドコーティング市場の50%以上のシェアを占めているという。

主力製品は、「クリスタルセラム・ウルトラ」という旗艦製品をはじめとした3種類のセラミックコーティング(いずれもプロ用)。自社で研究開発した独自設計で、旗艦製品は特殊な分子構造で高硬度の被膜最上層を形成し、光沢や滑らかさ、耐擦傷性、耐薬品性を実現。ブランド通じて優れた品質に加え、施工性も強みとしており、シャンプーやクリーナーなどの各種ケミカルも取り揃える。


近年、日本では従来のガラスコーティングに代わり、セラミックコーティングなどの名称をはじめとしたより高機能を打ち出すコーティングが台頭しつつある。一方で、同ブランドの日本総代理店を務めるinsieme佐久間代表によると、そうした高機能コーティングでは、複数回の塗布や厳格な施工環境が必要など、施工の煩雑性がプロ施工者であってもネックとなってきているそうだ。「一般的なセラミックコーティングと比較して優れた施工性がジーテクニックの特徴。カーケア商品の競争が激しい欧州で確かな実績を築いている品質を元に、“正統派セラミックコーティング”として多くの人に使ってもらいたい」と意欲を示している。

また、施工店でありながら、プロ用コーティング剤の輸入販売も手掛ける大阪のカーメイクアートプロは今夏、新たに「マットカラー」専用のコーティング剤の販売を開始した。ドイツ「nanolex(ナノレックス)」社の製品で、マットカラーの質感を維持したまま、防汚性や耐擦性といったコーティングのメリットを付与できる。

同社によると、近年はマットカラーの入庫が増加しているという。背景には、メルセデスベンツやBMW、ランボルギーニなど欧州の高級車を中心に純正塗装色としての採用が増えているほか、ラッピングフィルムやペイントプロテクションフィルム(PPF)でマットタイプのフィルムを施工している車両の増加もあるそうだ。
通常のグロス(光沢あり)カラーと異なり、艶消しが独特の存在感を示すマットカラーは、「他とはちょっと違った趣」を求めるカーオーナーの間で人気で、マットカラーにする手段が増えるのと合わせ、コーティングなどのカーケアの依頼も増えてきているという。


一方、マットカラーのデメリットが、汚れやすさと汚れた際のケアの手間。表面の微細な凹凸により艶を消しているマットカラーは、グロスカラーと異なり磨いて艶を出すことができず、適切でない汚れ除去やコーティングを施してしまうと、部分的に艶が出てしまったり、全体的に光沢が発生してしまったりと、マット本来の魅力を損なってしまう恐れがある。

こうした課題・トラブルリスクを抱えるマットカラー車に焦点を絞って開発されたnanolex社製専用コーティング剤。専用シャンプー、専用クリーナーと合わせ、すでに全国のプロショップに向けた販売がスタートしている。

《カーケアプラス編集部@相原駿》
【画像】プロ・アマ用、海外・国産…群雄割拠の高級コーティングの世界(22枚)

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